【HQ‼︎】コート上の王様は私にとっての王子様【影山飛雄】

｡.✽･28.弁当 ページ29

次の週。昼休みのこと。



「A〜！ちょっと〜！！彼氏さんって及川先輩だったの〜！？」

「えっ、う、うん。」


目立つかなって思って黙ってたんだけど…なんで！？



「Aちゃん！お弁当食べよ！」
、、、。そういう事ですか。


「わかりました。」

2つの意味で笑






「ね、ほら。こうしたら毎日会えるよ。」

徹くんは私に微笑む。
いいのかな、私が独り占めして…



「.....いや、だった？」


「！いえっ、まーったく！！」

「あはは、よかった」


ああ、何回も微笑んでくれる。




その覗き込んでくれる角度。

笑顔。

言葉。


嫌でも思い出すよ。ホント。


重なるよ。




失礼だってわかってる。

彼氏と………元彼を重ねてしまうのは。




徹くんの弁当箱に詰められた色鮮やかなおかずをじっと見つめながらただ橋を進めた。

徹くんのお弁当は凝っていて作ってくれた人の愛情が感じられた。



それに対して私の弁当はThe王道。


甘い卵焼き。


酸っぱいプチトマト。


しょっぱい焼き鮭。


苦い野菜。


辛い明太子。


なんの味もしない水煮。




全て私の感情を表しているみたいで。

一言では表せなくて。






ーーこの時からもう私の身体、身の回りは気づいていたのかもしれない。

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