２０ ページ20
神ちゃんのおでこ、
つんて突っついたら・・・
びっくりなぐらい、
神ちゃんのほっぺた、
真っ赤っかに染まってん。
ちょ、まじで可愛え過ぎやねんけど。
ずるくない？
こんな恋するような瞳して。
神ちゃんはプロの俳優やもんな、
俺みたいなん騙すんなんて、
ちょろいんもんやんな。
それでもええかな。
騙されても。
そんな気持ちになってってる。
予約してあった、
人気のイタリアン。
どれだけ話引き伸ばしたかって、
終わりは来る。
神ちゃん、
ラインでお泊まりしてもええ？聞いてきてたけど、
あれ、どういう意味やったんかな。
あんな約束、今となっては無効よな。
家路を急ぐ人の群れ。
その雑踏の中。
「そろそろ帰ろか」
駅に向かって歩き出したのに、
神ちゃんは、ぼんやりして立ち尽くしてる。
泣きそうな顔して。
「神ちゃん、どした？
行こ？」
声が自然と優しなる。
嘘つかれて、
俺、怒ってたはずやのに。
神ちゃんは、
俺のこと、男同士としてしか見てへんのに。
「ううん、何でもないで」
「嘘つき。
泣きそうな顔してるやんか」
「そんなこと、ない」
周りの喧騒がすうっと消えてく。
「ええから。
思ってること、ちゃんと言うて」
神ちゃんの手を取って、
ぎゅっと繋いだら、
唇、きゅっと結んで、俺を見つめた。
「しげ、俺な、俺、
女の子しか、好きにならへん、て、思ってた」
「うん。
俺もまあ、そうやで？」
それやのに、神ちゃんを好きになってしもた。
「そやのに。
しげと出会って、
一緒におることが楽しいて、
好きって言うてくれたことが、
嬉しいてたまらんかって」
「うん」
落ち着いて答えたけど、
期待で胸が張り裂けそうや。
もしかして、神ちゃんも・・・
「俺、俺さ、
男やのに。
しげに恋してもうた」
じんとして、胸が苦しい。
神ちゃんが愛おしいて、可愛いて。
抱きしめたくて、
手を伸ばしそうになった時、
神ちゃん、
「しげは、女の子のカッコしてる俺が好きなんやから、ほんまの俺は好きやないやろ？」
そう続けて、
切ない顔して、笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 374人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カドケシ(プロフ) - 青桃書いていただけるの本当に嬉しいです！ありがとうございます！！ (2021年10月8日 18時) (
レス) @page50 id: 05636aee53 (このIDを非表示/違反報告)
ななはち(プロフ) - 短編リクエストが中編になって…エイトの曲で他にもリクエストしたいんですけど、大好きな曲がこんなに長く読めるなんて嬉しすぎます。読み取れない天気予報みたいに曖昧な緑さん、県庁の星の赤さん、それにりょちゃんも丸も…感動でした！続きまってます！ (2021年10月8日 13時) (レス) @page50 id: ef79629cea (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - 振り回されてる赤くんと、ツンツンしてるのに赤くん大好きな緑くん！めっちゃかわいすぎます〜！！！続きが気になりすぎる！いつもながら、最高です♪♪ (2021年10月5日 19時) (レス) @page41 id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - このシリーズ、青桃は書かれる予定はないですかね…？ひそかにソワソワしながら待ってしまっておりました💦 (2021年9月23日 20時) (レス) @page50 id: 127582e3c7 (このIDを非表示/違反報告)
kamikojiyu9320s(プロフ) - はじめまして！まっぴーと申します。ローリングコースターのお話大好きで早く更新しないかなーと、本当に楽しみにしていたこの秋分の日。怒涛の更新で1日キュンキュンしていました。作者さんも今日はお休だったでしょうに、ありがとうございます！ (2021年9月23日 19時) (レス) id: 1fba4a86c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool
| 作成日時：2021年8月17日 15時
