【太宰治】この度タイムトラベルして父が生きてる未来を作ることになりました。誰か異議ある人はてぇーあーげてぇー！

彼女の瞳 ページ32

太宰sied


そこで一つ気がついた。


もしかしたら彼女の右目は…


太「…まさか、義眼？」


いや、そんなわけないか。

私の考え過ぎかな。


貴「…は、」


ポロリと出た私の独り言に明らかに動揺するAちゃん。


太「…え？」


嘘でしょ？


もしそうだとしたら、私は今とんでもなくデリカシーの無い言い方をしてしまったのだ。


…でも。


そう考えれば考える程辻褄が合ってくる。



勿論さっきの写真の件もそうだし、今動揺しているのだってそうだ。



…更にはさっきの柱にぶつかったのだってそうだ。



仕方なかったのだ。









だって、見えていなかったのだから。








それを、私はーーーーーーーーー


『(頭)大丈夫？』



『いい脳外科紹介しようか？』



ふざけていたとしても心無い言葉をかけていた。

それに対して…この子はなんて言った？




『私の予想では頭かな。』


『しばくぞ。』



態と“目”ではなく“頭”と言って茶化していた。



太「…っ。」


何も言えずに黙っていると、


貴「うふふ、大正解！


…右目見えないからちょっと不便だけど、そんなに困ってないよ！」


笑いながら言うこの子に何と返してあげればいいのか分からなかった。


八年後の私なら、何と言っただろう。




…もし此処にいるのが“彼”であったなら、

この子に何と声を掛けただろう？





分からない。分からないんだ。






ただ一つ、言えること。それは






今の私には、何にも言うことができないということだ。









“君”なら、もし“君”だったならなんて言うんだい？

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