思いの先１ ページ26
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しろが籠城した
いち兄は、創作活動という名の放浪の旅に出て、一週間。いつ帰宅するのかは不明。
じろ兄は学会参加のため、昨日から二泊三日の予定で東北へ。その後職場に直行するらしく、3日では帰宅してこないと思われる。
さぶ兄は自分の担当しているキリンが、出産間近だと言って、数日前から職場に泊まり込んでいる。こちらも、いつ帰宅出来るのかは不明。
つまり、この家には今双子の兄と自分しかいないのだが。
昨夜2人で食事を済ませた後から、しろは何故かいち兄の部屋に籠って、出て来なくなってしまったのだ。
「おーい、しろー。生きてるー？」
「生きてます。生きてるから、ほっといて」
朝一度声をかけても反応がなく、昼になっても降りてこない。
さすがに痺れを切らして、部屋のドアを叩くも、素っ気ない返事が一言。
「ほっとけって言われても…飯くらい食べに来いよ」
「いいから。俺のことはほっといて」
「しろ、いい加減に…っ！？」
いい加減にしろと、ドアを開けようとしたらまさかの施錠。
彼は徹底的に俺のことを避ける気らしい。
訳が分からない。
避けられるようなことも、怒らせるようなこともしていない。
全く何も身に覚えはない。
何より、昨日の夕飯時までは普通だった…
「ん…？」
そういえば、普通ではあったけど、いつも通りではなかったかもしれない。
普段からかき込むようにして食べるじろ兄、さぶ兄と違って、しろはいち兄と同じくどちらかと言えば、ゆっくりとしたペースで食べる。
それが、昨日は何となくいつもより早めのペースで、若干詰め込むような感じもあったような…なかったような…
そこまで思い出したところで、ドアの向こうから聞き捨てならない音が聞こえてきた。
「ゲホッゲホッ」
「！」
枕か何かに顔を押し付けているのか、かなりくぐもってはいるが、確かに今しろの咳が聞こえた。
昨夜の違和感と今の咳を合わせて導き出された答えに、慌てて再度目の前のドアを叩く。
「ねぇしろ。風邪ひいてんじゃない？調子悪いんだろ？」
「……気の所為です。ダイジョブデス…」
「おい、誤魔化すな」
いくら聞いてもはぐらかすばかりで、まともに取り合おうとしないしろにイライラしてくる。
理由は…分かってる。
しろが体調不良を簡単に認めず、自分を避ける理由。
俺に感染さないためだ。
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にひひ - とっても面白かったです！ありがとうございました。 (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» お待たせして、申し訳ありません。ご希望に添えたかどうか不安ですが…リクエストありがとうございました。 (2020年7月31日 18時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストです。雨の日に発作が起き家の治療でも治らず病院へ発作が収まり家に帰るとまた発作がというお話をお願い致します。発作はどっちも大きいものでお願いします (2020年7月24日 17時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
はちこ(プロフ) - にひひさん» ご期待に添えるものが書けるかどうか分かりませんが、それでもよろしければリクエストお受け出来ます。 (2020年7月23日 21時) (レス) id: fdcdcf1450 (このIDを非表示/違反報告)
にひひ - リクエストいいですか？ (2020年7月23日 15時) (レス) id: 6032ca778f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はちこ | 作成日時：2020年4月23日 20時
