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『っ玄弥くん…!?』
そこには足元に胴を真っ二つにされた玄弥くんがいて。
血の気が一気に引くのがわかる。
『玄弥くんっ身体がっ』
玄「大丈夫、俺はまだ鬼を喰えば。」
『そうなの!?でも胴が、』
玄「本当に心配しないでくれ。
それよりAさんはこんなところに来ちまって大丈夫なのか…?」
『…大丈夫、覚悟は決めたから。』
玄「…どんな時も頼もしいな。」
『こうなるのに何年もかかっちゃったけどね…。』
玄「…なぁAさん、話したいことがあるんだけど、
まず向こうの時透さんを助けてくれないか。」
玄弥くんの視線の先を見て心臓がドクンッと大きく音を立てた。
血だらけで身体を折りたたんでいる男の子。
あれはどう見ても、無一郎。
左腕を失っている。
いや、左腕だけじゃない。
肩から大量に血を流し、荒い呼吸で、なんとか止血を試みているのか。
『無一郎…!』
無「…A…!?…っ何でこんなところにいるの…?」
横に落ちてるこの長い刀でやられたのか。
左腕をしっかり縛り、肩も止血しようとするけど、貫通してたのか血は止まらなくて。
どうしようどうしようどうしよう。
このままだと、小さい無一郎は死んじゃう。
どうしたらいい?
焦りで手元がおぼつく。
無一郎から大きなため息が聞こえた。
無「…ねぇA。」
『な、なに…?』
無「Aはさ、鬼のことなんていっそ忘れて、俺に守られながら笑って生きてたらいいのに…
こんなところに来たりして、本物の馬鹿なの?」
『うるさい嫌だ…わたしも守りたい…』
無「まぁそう言うと思ってたけど。
はぁ…Aのふろふき大根、食べたいなぁ。」
『食べよ?帰ったらいっぱい作ろ?』
無「ふふ…そうだね。…止血、助かる。
Aの顔見たら焦ってた気持ちが少し落ち着いた。」
無「…ねぇ俺、死んでもアイツを倒して、Aを守るよ。」
『いい!わたしのことはいいから!
ねぇお願い無一郎…死なないで…?』
無「…最期にやっと泣いてくれた。」
悲しい微笑みを浮かべ、残った指でわたしの頬を撫でる。
無一郎にはそんな顔、似合わない。
幸せそうに、笑っていてほしい。
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金平糖 - うぅ...感動しました... 一気読みしたんですが、一気読みしたからこそ凄く感動しました。こういう系の話には弱いので、、、 (2021年10月2日 23時) (レス) @page45 id: f3f7dadf62 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃 - 不死川の夢小説少なかったのでとても嬉しかったです!出来れば続編も読みたいです、お願いします。一つ…鬼舞辻が鬼゙無゙辻になってたので、そこは直して頂きたいですね。 (2020年12月11日 7時) (レス) id: cedaea8f17 (このIDを非表示/違反報告)
かぼ(プロフ) - ろこもさん» 完結おめでとうございます!素敵な作品でした!実弥と夢主が幸せになれて良かったです(はぁと)ろこもさんも大好きです!ありがとうございました! (2020年8月7日 5時) (レス) id: abbc87cbf8 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - 我妻ライさん» 我妻ライ様!返信遅れてしまいすみません!絶叫嬉しい限りです!元気が出て頑張れました!!読んでくださりありがとうございます! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
ろこも(プロフ) - かぼさん» かぼ様!返信遅れてしまいすみません…!一気読みありがとうございます!実弥さんを表す文章力が足りませんが、より好きになるお手伝いができれば嬉しい限りです…ありがとうございます…! (2020年8月7日 0時) (レス) id: ef1ad6d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろこも | 作成日時:2020年7月7日 22時