熱を帯びる指先 ページ29
今日の昼過ぎに慌てて小さなケーキを買った。
きっと明日はメンバーやマスターからも祝ってもらうだろうから、選んだのは甘さ控えめの小さなショートケーキ。
29日の夜に渡そうと思っていたけれど、思いがけず30日0時に渡すことができてよかった。
想像以上に喜ぶテヒョンの顔を見れたことが、何よりもうれしい。
「21歳かぁ…日本では20歳なんだよね…」
分かってはいたけれど、口に出すとさらに若く感じてしまう。
「あ、そっか。日本では数え方が違うんだよね。
Aさんの誕生日はいつ？何歳になるんだっけ？」
ケーキを美味しそうに頬張りながらテヒョンが聞いてくる。
久しぶりに年齢をストレートに聞かれた気がする…。
もちろんテヒョンには、悪気なんて微塵もないと思う。
「…2月。･････27歳になります」
私はわざと、日本年齢で答えた。
7歳差。大きいなぁ。
しかし、返ってきたのは意外な言葉。
「Aさんって、ヌナだけどヌナっぽくない」
テヒョンがケロリとした表情で言う。
「ん？どういうこと？」
「それより、Aさんも一口食べない？」
ハハっと一度笑うと、彼は話しを変えケーキを差し出してきた。
「ん？いや、いいよ、テヒョンのために買ったんだもん」
「美味しいよ。一口食べなよ」
得意のニコーッとして表情で薦めてくる。
私は彼のこの表情に弱い。
…ではお言葉に甘えて一口だけ。
「…美味しい。あ、テヒョン、イチゴ好きでしょ。これは取っておくね」
以前見た音楽番組で、彼が口の周りを真っ赤に染めながら、ひたすらイチゴを食べていた姿を思い出した。
私はショートケーキの上にのった大きくて赤いイチゴをそっと手で取り、
お皿の端に乗せようとした、
その時。
ガシッ。
テヒョンが私の手を掴み、そのまま自分の元に引き寄せる。
そして、
パクリ。
と一口。
私の指ごと、イチゴを食べる。
「甘い」
舌をペロリと出し、いたずらっぽい笑顔を見せた。
････心臓が爆発する。
彼が掴んだ手から指に触れた唇、顔から耳まで、体全体が熱を帯びるのを感じた。
「そういうとこ」
「へ？」
間抜けな声が出てしまった。
「ヌナだけどヌナっぽくないところ」
楽しそうに私を見て笑うテヒョン。
それはこっちのセリフだ。
年下なのに。
7歳も下なのに、全くその年齢差を感じさせないキミ。
私はすっかり君にはまっている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちかこ(プロフ) - ハル様 ありがとうございます！続編、始まりましたので引き続きよろしくお願いします。デレデレテテ、いいですね〜！ (2016年1月30日 19時) (
レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 第２部楽しみにしています！！ヌナにデレデレのテテが見たいです！！楽しみです！ (2016年1月23日 2時) (レス) id: a3a9522359 (このIDを非表示/違反報告)
ちかこ(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます。この1週間ほど仕事がバタついており全く更新できず申し訳ありませんでした。。劇的な展開も少ないゆる〜りとした話で続きますが、どうぞよろしくお願いいたします。やはりテヒョン続編ですかね〜！ (2016年1月22日 21時) (レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 更新楽しみにしていました 二人ともすごく可愛くて、これからのSpringもsummerも可愛い二人を楽しみにししています (2016年1月22日 21時) (レス) id: 0f6ae1e55a (このIDを非表示/違反報告)
Robotaxxxx(プロフ) - きむて様 他の方に比べると遅くて本当に恐縮です…大量更新、頑張ります！ (2016年1月4日 15時) (レス) id: 1d1db99c36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちかこ | 作成日時：2015年11月23日 16時
