Q20.チュー以上って何ですか? ページ20
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「いまってさ、先生と生徒っていうギリギリのところでどこまでやれるかってところあるじゃん、指を挟んだらチューしてもおっけーとか、わたしからだったらハグしてもいいとか。でも、もしわたしが卒業して、チューもそれ以上のこともできるようになったとしたら、ギリギリのラインを楽しむスリルがなくなるじゃん。そうしたら、先生はわたしのこと飽きてほかの生徒のところに行っちゃったりする?そもそも、付き合えるってなった時はわたしはもう卒業してるから、先生はわたしより若い生徒に目移りしちゃう?ねぇ、先生わたしのことずーっと好きでいる自信ある?」
「質問は一個ずつして。そんで、数学に関係ある質問にして」
久しぶりの数学準備室。わたしはテストに備えて先生に勉強を教わるために、シャーペンを握っていた(握っているだけだった)。
先生は眼鏡をくい、とあげ直して、わたしより教科書の例題を見ていた。勉強を促されてる。いや、勉強おしえてって言ったのはわたしなんだけど。
「だって不安になっちゃったんだもん」
「なんでよ。僕、わざわざ放課後に時間さいて他の生徒の勉強みないよ。Aだけ。この意味わかるでしょ?」
「分かってる」
「Aとスリルある恋愛がしたいわけじゃないよ。だから目移りしないし他のとこにもいかない。ずっとAだけだよ」
「ちゃんと質問答えてくれたじゃん」
「満足?」
「うん」
じゃあこの例題解いてみて、と先生は指をさした。その式を、とりあえずルーズリーフに書き写す。わたしの指先を追う先生の視線に、少しドキドキしてしまった。
「ねぇ」
「ん?」
「先生から質問していい?」
「なに」
「チューの、それ以上のことってなに?」
先生は、それまで指先を追っていた視線をわたしに向けた。いじわるな質問だ。先生だって、まじめにお勉強するつもりないじゃん。
「先生、準備室寒いね」
「わ、先生の質問には答えてくれないんだ」
呆れたフリをする先生にぎゅっと抱きついた。意外に思ったのか、先生の体がびくっと動く。
「先生、やらしーこと想像してるでしょ」
「まぁ、先生も男だからね」
「ちゅーのそれ以上、分かってるんじゃん」
「…その頭の回転の速さを、数学にも活かしてよ…」
先生は困ったように、わたしのハグに応えて腕を回した。あったかい。
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遥乃。(プロフ) - miさん» いえいえ! 首を長ーくして待ってます! (2018年11月8日 0時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 優しいお言葉ありがとうございます(T_T)自分のペースで更新していきます〜 (2018年11月7日 9時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - まぁ、盗作は論外ですが。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - miさん» 遅れるも何も、好きな小説を好きな時に好きなように書くサイトなんですから、気にしちゃダメですよーw 実際の小説家たちみたいに締め切り日があるわけでもないし。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 遅れて本当にごめんなさい!待っててくださると嬉しいです〜〜!! (2018年11月4日 21時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未詞 | 作成日時:2018年6月25日 16時