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Hiyama side
彼女を失ったあの日以来、初めて湧の涙を見た。
湧は1人で彼女が残した子を守り、みんなをまとめてきた。
苦しかったよな、感情失ったっていってたし、
そんな顔をしてたけど
それは彼女のいた時間を
失った瞬間を
思い出さないように必死だったんだ。
泣きながら、湧から手紙を渡される。
檜山『ん??どうした?』
湧『読んで、読んでいいよ、、檜山少し気が楽になると思うんだ』
檜山『………わかった。』
俺は湧の彼女さんの手紙を開いた瞬間、
涙が出たんだ。
"無理に強がってませんか"
あの日から強がって生きてきた俺と湧に、
痛いくらい染みるものだった。
その手紙の言葉はひとつひとつが
今の湧を、俺を救ってくれる気がしたんだ。
彼女さんの一番怖いことは湧を失うこと。
湧だってそうだ。
そんな彼女さんを湧は失った。
湧は、
もう恐れるものはない、
自分が命をかけて守りたいものはこの子だけになっちゃったんだ、
そう言った。
そんな湧にかけられる言葉が今の俺にはなかった。
肩を震わせながら、声を押し殺して泣き続ける湧は
年上なはずなのに少年に見えた。
俺が手紙を読み終わった時、湧はテーブルの上にある
彼女さんと湧のツーショットの写真を
溢れてくる涙を何度も何度も拭いながら見つめていた。
檜山『1人でもう抱え込まなくていいから。
誰にも言えなかった気持ちも、何もかも
全部全部俺が受け止める。
だから彼女さんの手紙にあった通りに
無理に笑うな。
泣くの我慢するな。
俺だってもうなにも恐れるものはない。』
湧『ヤーマン、、』
檜山『おい檜山だよ笑笑』
湧『ありがとう、けど檜山もだからな??
無理に笑顔作らなくていい、
泣きたい時に思いっきり泣けばいい、
でも1人で泣くな』
この日俺らはお互いを頼ることを決めた。
彼女を失った俺ら2人だからこそ、
できることがあるはずなんだ。
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作者名:Tou | 作成日時:2021年7月22日 4時