coming-out (ページ13)

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Waku side

彼女のわーくって伸びた呼び方が大好きだった。

彼女の優しい声が、優しく俺を撫でる手が大好きだった。

馬鹿みたいなギャグを大笑いしてくれて。

彼女が笑ってくれるから堂々とYouTubeで一発ギャグができた。

毎日笑い続けられていたんだ。

半年前の付き合って五年記念日の日。

大好きな彼女にこれからもずっと隣にいて欲しくて、

プロポーズをした。

泣きじゃくりながら何度も頷く彼女が愛おしくて。

俺は本当にこの人を選んでよかったと改めて思った。

あと半月で正式に籍が入れられるところまで来ていた。

彼女は俺が何度告白しても、いい返事をくれなかった。

前にどうして全然OKくれなかったの?って聞いた時

『湧の彼女って胸を張って言える自信がなかった』

『アイドルの彼女でいることが怖かった』

そう言ってたよね。

そんな俺の最後にしようって決めた告白でOKをくれた時

相当な覚悟を決めてくれたんだ。

最後の告白の日、『付き合ってください』と

精一杯伸ばした手は、

『幸せにしてね』という言葉と共に

俺の大好きな手に包まれた。

自分の命を捨ててでも、

アイドル人生を諦めてでも

幸せにしたいと思っていた俺を怒ってくれたのは彼女だった。

『私のせいで自分の天職を、命を投げ出す人とは付き合いたくない。』

しっかりしていて、どこか儚くて、脆くて

実は臆病で、不安がりで、

天才の優しさの持ち主。

あれから病院で最終的な2人の死亡が確認された。

俺の彼女は、出血過多で死亡。

檜山の彼女は致命的な場所をやられてしまい即死だったそうだ。

これが現実なのに、

涙でかすんだ目にうつる冷たくなった彼女の姿を

認めることができない。

何度呼んでも返事はない。また俺の名前を呼ぶことはない、

どうして彼女が殺されなきゃならなかったのか、

絶対にわかるまで俺は諦めない。

見ててね、絶対にお前を殺めたやつを俺は許さない

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