私たちは嘘をつきました【紫】 (ページ3)

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恋するフリ始めました【3】ページ3

今日はあの写真を落とした日から２日後のドラマ撮影の日でその日はシーンの関係で朝からだった。

皆朝の眠たさを家から少し持って来たような眠たそうな中で今日も朝から向井さんは元気だった。
颯爽と衣装もセットもバッチリの姿でスタジオに入ってきたかと思うと元気よくスタッフさんと話していた。

「おはようございます～！今日もお願いします！」
「向井くんは朝から本当元気だね～」
「僕5時から掃除してたんで！」
「早っ」
「毎日掃除しないと気ぃすまないんですよ～溝とか！」

朝からフルスロットルだな～と思いながらもどこか口角を上げてしまいそうになる。
写真が気になってあんまりぐっすり休めた気がしなかったけれど元気になった気がした。

共演者の方たちと軽く今日もお願いしますと挨拶をして監督と最後の打ち合わせをする。

もちろんその中にも向井さんは含まれているけれど、本当に「お願いします」といういつもの挨拶程度。
例えて言うなら看護師さんが患者さんとすれ違う時に会釈するぐらいのその程度。もうドラマは4、5話目くらいだけれど、本当にそれぐらいしか向井さんとは話したことがない。まあ変な噂を立てられるのはまっぴらだし、何より向井さんに迷惑がかかってしまう。

普段から話すのは、共演している女性の俳優さんがほとんどだし元々自分からあまり話すわけでもないし集まって話すっていうことが昔から得意じゃない。だからそういう状況になった時には自然と外れていくようにしてしまう。

そんな私とは対照的に向井さんは男女問わずいつも皆とワイワイしていることが多い。1人でいるところなんて見たことがない気がする。

だから私が向井さんに好意を持っているなんてきっと絶対誰も分かるはずがない。

それにしてもここのスタッフさんたちも写真のことは知らないみたいで、もしかしたら掃除に入った人が拾ってたりして…それだったら良い。
それが良い。写真は残念だけれど、またなんとでもできる。

今はとりあえず撮影に集中だ。

※思った以上に話が長くなってしまったため、タイトル一部変更しています。