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帰り道、ファミレスの最寄りでジョシュア先輩達とは別れたけれど、ジョンハンはコンビニに寄るからとかなんとか言って、私と同じ方向に歩き出した。
「遊園地かー…じゃあほんとにバイトしなきゃ」
「ほんとにってなんだよ、面接行くんでしょ？」
何気なく私が零した言葉に、ジョンハンが訝しげに顔を覗き込んでくる。
「…まぁそうだけど…」
嘘だとバレたら気まずすぎて、私は早口にそう言って顔を逸らした。
っていうかどこで別れよう、なんて早くも嘘が苦しくなりながら、それでもどこかで、ギリギリまで彼の横を歩いていたいと思っている。
「……ってか、遊園地はお前出さなくていいよ、」
「え？どういうこと？」
「…だからさ、別にお詫びじゃないけど…」
ふいにジョンハンにわしゃわしゃ前髪を崩される。
慌ててその手を抑えながら見上げた視線の先で、
「先輩が奢ってやるっつってんの」
軽く唇を噛みながら、はにかむその笑顔が、夕日に赤く照らされていた。
甘く柔らかいとろけるようなその口元に、思わずこっちの頬も熱く染まる。
「……そんなの、さすがに悪いよ」
「悪いって？」
「だからその、奢りとかさ……」
「俺がしたいって言ってんだからいいじゃん」
「そうはいかないって…。
そんなのされたら、なんか次が気まずいし…」
「ふーん、次も考えてんだ？Aは」
私の気恥しさをよそに、ジョンハンはにやりと笑う。
その不敵な笑顔に、私も思わず詰め寄るように「そうじゃないけど」と言い返した。
けれどジョンハンはまだニヤニヤ笑ってて、「ハイハイ」って軽く私をあしらうように先を進んでいく。
「ま、いいから来週、9時に〇〇駅な」
と、彼が私に片手を挙げたのは、しっかりと私の家の前だった。
私が言った夕方の予定を忘れていたのか、それともまだ間に合うと思っているのか、はたまた、見抜いていたのか。
そのどれとも分からないけれど、ジョンハンは別れ際に私の頭をまたくしゃりと撫でて、指先に頬をかすめさせ、「バイバイ」と、その温もりだけ残していった。
私はその残された温もりを確かめるように、自分の頬を両手で抑えながら、小さくなっていく後ろ姿に「バイバイ」と殺した声を漏らす。
そんな声さえ彼は漏らさずに、曲がり角でもう一度振り返ると、早く入れ、と指さしてから、その影に消えていった。
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作者名：。 | 作成日時：2023年1月24日 23時
