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其ノ壱 ページ3

※三郎語り



そもそも、八左ヱ門は四年になりたての頃はまだは組の生徒と同室だったんだ。
一応組で分けられていたが部屋が足りずにな。
今は私、勘右衛門、八左ヱ門、雷蔵、兵助の五人で行動してるのをよく見るだろう?もともとは六人だったんだ。私達は。親しい六人でよく行動をしていた。
その男は錦一京。八左ヱ門みたいなからりとした性格の気のいい男だったさ。
人一倍元気で、強くて、優しいそんな男。
だがな、そいつは、その性格のせいで一京は今、行方が分からないんだ。




あれは四年になりたての頃の野外実習だった。
私達は味方だったはずの城に裏切られたんだ。死んだ者も沢山いた。そんな中私達は六人で森の中を走っていた。私と雷蔵は腕と腹に重症を。八左ヱ門は折れた足を引きずっていたし勘右衛門と兵助はじわじわと毒に侵されつつあった。
全滅の言葉さえ過ぎった。
でもそんな中、唯一、唯一軽傷だったのが一京だったんだ。
アイツは私達の反対を押し切って囮になった。
何度止めろと言ってもな、あいつは聞く耳を持たなかった。


『大丈夫、僕は皆を死なせないし、僕だって死なないよ』


誰もそんな言葉求めてなかったんだ。
このままみんなでここに隠れて気配を消して先生達を待てばよかったんだ。
でも、一京は行ってしまった。




『あははっ、僕一人捕まえられないなんてさ、貴方達プロ失格じゃない?』




そうやって敵を煽るその言葉が、私達が聞いた一京の最後の言葉だった。





良く見つからなかったって?そりゃ衰弱してたからな私達はみんな。それに、騒いでしまえば一京の頑張りが無駄になってしまうから。
結局、敵の忍者が一京を追って行った後、先生達が見つけてくれるまで私達は意識を飛ばしていたのさ。




目が覚めたら目の前は保健室の天井。そして、一京が捕まったということを知ったんだ。
助けに行かなければと立ち上がろうとした私達を止めたのはずっと看病をしてくれていた善法寺先輩だった。そして上級生や先生方が助けに行ったと教えてくれた。だから、安心していたんだ。もう大丈夫だって。一京も帰ってくるって。







でも、それでももう遅かった。

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黒糖さんでーす - 良かったです (2023年3月1日 10時) (レス) @page13 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 一色識さんのこと、呼び捨てにしてしもうた。、、、すいやせん、 (2023年1月6日 1時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 一色識の作品は良いものばかりです。他の作品があったらぜひ、読ませて頂こうと思いやす(;´д`) (2023年1月6日 1時) (レス) id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんですよ〜☆ - 良い物語だったです。終わりまでみやした、うん。面白し、感動もあり良かったです!!!!コメント失礼しました (2023年1月6日 1時) (レス) @page13 id: 888b3d648c (このIDを非表示/違反報告)
Topaz トパーズ - 素敵です!いつかは分からないけど、最新待ってます!頑張ってください! (2021年7月21日 6時) (レス) id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一色識 | 作成日時:2021年4月18日 21時

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