愛すべき愛しき人 ページ7
Aside
三郎は、俺のことが好きではないのだろうか。
言わずもがな、俺は鉢屋三郎のことが好きだ。
あいつが入学した頃から想っていた。
いや、遡れば、俺が7歳のときか。
あいつは、三郎は覚えていないだろう。
けれど俺と三郎は、昔、学園の外で会ったことがある。
俺は父の付き添いとして。
三郎は変装の名門鉢屋衆次期当主として。
こどもということを忘れたかのようなその冷めた美しい瞳が、ものすごく愛しく思えた。
学園に入学したのも、三郎が入学すると知ったからだ。
俺が久々知に微笑みかければ一気に機嫌が悪くなる。
俺が久々知に美しいと言えば、その瞳には悲哀を宿す。
「俺のこと、好きだと思ったんだけどなー……」
思い違いだったのだろうか。
『興味無いですよ。人の色事なんて』
その言葉が、突き刺さった。
それを言ったときの三郎の顔はうつむいていて見えなかったが、声色は、まるで他人に向けられるものだった。
俺は、“先輩”という立ち位置から何も変わって無かったのか。
あと半年もすれば卒業。
それなら、少しでも俺を俺として意識してもらえるよう、全力で行動してみようじゃないか。
悔いの残らないように。
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れん☆(プロフ) - 最高すぎます!更新お待ちしております! (2018年8月17日 14時) (レス) id: cc4c4ce5e8 (このIDを非表示/違反報告)
慶(プロフ) - このお話好きです!更新待ってます! (2017年9月30日 3時) (レス) id: 4c9e552342 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫希 | 作成日時:2017年6月8日 16時