幸せの願い方を教えて ページ3
いつものメンバー……5年い組の久々知兵助と尾浜勘右衛門、5年ろ組の竹谷八左エ門と不破雷蔵、そして私で食堂にて昼食をとる。
いつもより混んでいて、わいわいがやがやと騒がしかった。
1年は組が勢揃いしているようだ。
「おばちゃん、A定食1つ」
喧騒の中から、落ち着いた愛しい声。
そちらに目を向けると、間違いようもない、和泉宮A先輩だった。
食堂のおばちゃんから昼食を受け取り、食堂内をぐるりと見渡している。
そして困ったような顔をしたあと、此方へ歩いてきた。
反射的に、頬杖をつく。
自分の心を乱すことがあったときの、私の悪い癖。
「やあ、5年生。今日も仲が良いね」
形の良い唇と目をにこりと歪め、爽やかに言う先輩。
心臓がどくりと跳ねた。
くそ、今日も格好がよろしいようで……。
声には出さないで、誉め言葉とも受け取れる悪態をついてしまった。
そして、勘右衛門と2人並んで座っている兵助を見て、「すまないが、他に席が空いていないんだ。となり、失礼しても良いかい?」と苦笑気味に微笑んでいた。
どうして兵助に聞くんだ。
理不尽な嫉妬が、腹の中でどろりと広がる。
わかっているさ。
3人しか座れない席で、私は雷蔵や八左エ門と並んで座っている。
それなら、2人で座っている、しかもいちばん近い兵助に声をかけることくらい。
けれど、兵助に笑いかけたことが嫌で仕方なかった。
兵助は先輩のことをそういう風には見ていない。
ならば、その困ったような笑顔は私に向けてくれても良いんじゃないですか。
ああ、幸せなんて、どう願えば良いのだろう。
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れん☆(プロフ) - 最高すぎます!更新お待ちしております! (2018年8月17日 14時) (レス) id: cc4c4ce5e8 (このIDを非表示/違反報告)
慶(プロフ) - このお話好きです!更新待ってます! (2017年9月30日 3時) (レス) id: 4c9e552342 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫希 | 作成日時:2017年6月8日 16時