8話 ページ9
その後、先生はただ淡々と澪奈のことを語った
思い出されるのは半年前の記憶
遠い昔のように感じられるその記憶は、色褪せることなくずっと私の胸の中にある
初めて澪奈と出会ったのは、高校一年生の春＿
放課後の教室だった
中学からずっとやってきた演劇を、高校でも続けると決めた日。
私は早速貰った台本に目を通していた。
オーディションは来週なので、役者希望の部員は来週までにやりたい役を決めておかないといけない。
『ねぇクララ！お星様ってとっても綺麗だと思わない？
いーーーっぱい色があって、選び放題じゃない！』
『ちょっとリーナ、静かに…！夜中なのよ？
ダン達にバレたりでもしたら、カンカン日照りの大爆発よ！』
誰もいない教室で声色を変えながら次々と色んな役を演じていく。
キャラのイメージと自分のイメージを重ね合わせながら
どれが1番しっくりくるか吟味していく。
夢中になるあまり、気づけなかったのだ。
教室に入ってきた、澪奈の姿に。
「ぷっ、ふふふっ」
突然聞こえてきた笑い声に、私は反射的に後ろを振り向く
「ごめん、笑っちゃって…あんまりにも変なセリフだから…ふふふっ」
そこには1人笑う澪奈の姿があった
「演劇部？」
「えっ、うん、そう」
何も言えずに立っている私に、澪奈が近づいてくる。
澪奈は私の背後から台本を覗くと、面白そうにふーんと笑った。
対する私は恥ずかしくて顔も上げられない。
「へ、変だって、思わないの？」
「何が？」
「放課後、誰もいない教室で1人で喋ってるなんて、変じゃない？」
「どうして？だって、演劇部の練習してたんでしょ？」
「本当に？」
「本当だよ」
「本当に本当？」
「本当だってば！」
澪奈と言い合いになりながら、私は中学の頃を思い出す。
演劇の練習を目撃されようものなら、即刻変人扱いだった。
でも今、目の前の彼女は一切私を奇異な目で見ていない。
「……優しいね、景山さんって」
演劇部を認めてくれたようで、嬉しくて、
私は澪奈を見て目を細めた。
そんな私の手を、澪奈は勢いよく握る。
「ねぇ、友達にならない？」
「えっ？あ、うん」
私の返事は殆ど反射的なものだった。
嬉しくて、頭がついていかない。
小学校高学年の頃からずっと、
「天才」だの「高嶺の華」だのなんだの
煙たがられて友達のいなかった私にとって
澪奈は ”救世主” だったのだ
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！応援してます！！ (2022年8月23日 17時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか？すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね！まさかの共犯になるなんて…！面白いです！更新待ってます！ (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね！ (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)
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