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36話 ページ38

先輩から話を受けてから2週間後
それからも喜志は来ていたが、澪奈の話は聞き出せずにいた。ヘマをして店を辞めさせられたら困るからだ

しかし__神は私を見放さなかった



「玲奈ちゃん初めましてェ
小林でェす。今日はよろしくねェ」

その日やってきたのはピアスを何重にも付けたヤニ臭い客だった
よく喋る男で此方の反応などどうでもいいのか自分の話ばかりする
厄介なタイプだ



しかし、それは好都合だった





「……オレさ、ベルムズに入ってんだよねェ」

切り出したのは彼の方だった

「ベルムズ?あれって都市伝説じゃないの?」

言いながら私は更に酒をついでやる
どうやら酒が入ると更にお喋りになるタチらしい

「それが都市伝説じゃないんだよォ」

おちゃらける彼の手を取る
それを胸の近くに持っていきながら、私は笑顔を貼り付けて叫ぶように言った

「…凄いわ!」

えっ、と男の間抜けな声
息が触れるくらいの距離で、私は更に捲し立てる

「だって、都市伝説とも言われてるベルムズの一員なんでしょう?!凄いわ…!
…それに、リーダーのイニシャルって確か”K”よね?!小林さんのイニシャルも”K”でしょう?!」

終始興奮した様子で煽てると男は満更でもないような顔をして照れ始める
もちろんこんなものは演技だ
犯罪者に憧れを抱くほど落ちぶれてはいない

「玲奈ちゃんも詳しいねェ
まぁ俺は、リーダーじゃないんだけド
ただの下っ端だよォ」

「えぇー全然そんな風には見えないわァ
オーラがリーダー風格だもの」

アルコール度数の高いドンペリをどんどん足していく
水を飲む勢いで彼は酒を体内に流し込んでいく

「そーいや、玲奈ちゃんはあの水泳選手と同姓同名だよねェ?」

来た!!!

そんな心の内を悟られないように、平然と「水泳選手って?」と尋ねる
今の私は貧乏な大学生
大河Aではないことを忘れてはいけない

「あ、知らない?ほら、魁皇高校の、オリンピック選手にも選ばれてたっていう」

「あぁ!半年前くらいに自 殺しちゃった子でしょう?」

「そーそー」

もちろん知っている
と言うより、その真相を確かめにここまで来たのだ

__絶対に、暴いてやる

ここぞとばかりに酒を継ぎ足す
彼は覚束無い手でグラスを持ちながら
一言、こう言った






「あれさぁ、ベルムズ(俺ら)がやったんだよねェ」







ついに掴んだ
身を粉にして追いかけてきた事件の真相を、ついに掴んだのだ

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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています!応援してます!! (2022年8月23日 17時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか?すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね!まさかの共犯になるなんて…!面白いです!更新待ってます! (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね! (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みズま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年1月14日 19時

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