1話 ページ2
ずぶ濡れの上履きが、歩くたびに嫌な音を立てる。
水分が靴下の裏側にまで張り付いて不愉快だ。
卒業間際になってもまだ続けるなんて。呆れて溜息も出ない。
「HR遅刻すんなよー！！」
ギャハハという耳障りな笑い声に前を向けば、盛大な音と共に崩れる段ボールの山。
その中心には俯いたままの我らが担任、柊先生がいた。
徐に段ボールを手に取って積み上げる。
「遅刻するよ」
「画材道具ですか？」
先生の言葉を遮って聞けば、少し溜息を吐いてから先生は頷いた。
「へぇ。それにしては随分重いですね。」
「新作を描くんだ。」
先生の答えに納得し、あぁと頷く。
「先生の絵は、狂気的ですよね。私は好きですよ。」
「太河、俺の絵なんて見たことあったっけ。」
「人伝いに聞いたんですよ。先生の絵は、狂気的で美しい、と。」
「見なきゃ絵の良さなんてわからないだろ。」
「澪奈が言ってたんで。」
澪奈、という言葉に先生はピタリと手を止める。
私はそんなことも気にせず、最後の一箱を積み終えた。
「描き終わったら、見せてくださいね。」
そろそろ予鈴が鳴る頃だろう。
一応優等生をやっている身として、遅刻はマズイ。
誰が責めるわけでもないだろうが、プライドが許さないのだ。
「あぁ。」
先生は眼鏡の奥から面白そうに私を見つめた。
「とっておきの世紀末を、見せてやるよ。」
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理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！応援してます！！ (2022年8月23日 17時) (
レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか？すごく面白いので続きが見たいです。続編と物語の更新楽しみにして待っています (2020年9月27日 0時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - ヤバイですね！まさかの共犯になるなんて…！面白いです！更新待ってます！ (2020年1月24日 23時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま - すっご.....。作者様、絶対頭良いやん.....。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 8f9925b559 (このIDを非表示/違反報告)
ナナたん - 超大作ですね！ (2019年3月15日 20時) (レス) id: 0ab40017a4 (このIDを非表示/違反報告)
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