孤独は時に奇跡を呼ぶ【d!】

身の上 ページ17

Side you




ここに来て多分、5日くらい経った。


分かったのは、ココは天国でも地獄でもない、よくわかんない場所ってこと。怪我の手当をしてくれた人に触れたときに触れた時、温かかった。


多分初めての、人のあたたかさ。


親に抱きしめてもらった記憶がないから。ずっと一緒だったのは、地下の冷たさとスマートフォン。物心ついたときにはずっと、それだけ。


お日様も月も、空も、木も森も、あの男と女以外の人間も、温かいご飯も、全部全部初めて。


だから怖い。言葉だって、私が独学で学んできたものとここでは全然違う。


ものいた場所の世の中でいう"戸籍"っていうものがないらしい私は、学校ってところに行けなかった。文字通り存在しないらしくて、病気になって高熱を出しても連れていけるわけがない、とさんざん当たり散らされたっけ。それを知ったのは、去年の冬だったはず。


言葉は"歌"で覚えた。一緒に出てくる歌詞と、流れてくる言葉をリンクさせて。文字をスマートフォンで打てるようになるまでは結構かかったかな


……歌、歌いたい。


生まれた頃から一番身近にあったもの。声が出せないって嘘ついてても近くには誰もいないみたいだし、小さな声なら……

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