眠りの王子に花束を。【朔間凛月誕】 (ページ11)

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メモに書いてあった通り、プレゼントを開けずに電話をする

「は～い、A？」

「もしもし凛月？今大丈夫？メモ見たよ」

「良かった、お誕生日おめでと」

今日は凛月からの誕生日おめでとうは聞けないと思っていたから不意の出来事に心が揺らぐ
やっぱり、凛月からのおめでとうが一番嬉しい

「ありがとう、開けていい？」

「どうぞ～」

箱の大きさ的にアクセサリーかな？と思いつつ、丁寧に包装を開けていく
プレゼントを開けるのにワクワクしたのは、小学生のクリスマス以来だろうか

「キーケース…？」

「そ、可愛いでしょ～中身は今度渡すね」

「え？」

「俺の家の鍵、それがプレゼント」

びっくりして言葉にならなかった

他人を家に入れることを嫌う凛月が私に家の鍵をくれると言うのは、つまりそれって……

「えっと……」

「要らない～？」

「え、あ…いる！！」

「ふふっ、今日は会えなくてごめんね」

おめでとうの次にごめんねを言わせてしまったことに心が痛んだ

私の落ち込んでいた気持ちが伝わってしまっていたらと思うと本当に申し訳ない

「ううん、大丈夫」

「だって、俺がちゃんと仕事して稼がないとAのこと迎えに行けないでしょ？」

本当に、今日は人生で一番
幸せな誕生日になるかもしれない

泣きそうになるのを電話の向こうの凛月に諭されないように、涙を堪えて相槌を打つ

「まだ言わないけどね～」

「うん、待ってる」

「今日は、お誕生日おめでとうって伝えるよ」

突然、電話じゃないところから凛月の声が聞こえた

後ろからふっと凛月の香りに包まれて

「お誕生日おめでとう」

そう優しく耳元に伝えられた

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