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「はぁ?!付き合ってもいねぇ幼馴染にプロポーズしただァ?」
「この時代ではプロポーズと言うのだな。はっはっは!」
同僚である宇髄に、結婚することを報告すると奴は驚いて職員室の椅子から転げ落ちた。それを再び笑えば、笑うなと言われる。
「順番違うだろうよ」
「順番など関係ない。結婚したいと思ったから結婚を申し込んだまでだ!彼女を幸せにする、それが俺の責務だ!」
「けどよ、お前」
「その幼馴染、前世の記憶全くないんだろ?」と宇髄の言葉が頭の中を反芻した。宇髄は交際を飛び越えての結婚という事実に、ずっと理解不能だという顔をしていた。
夕方、職務を終え、彼女を迎えに急いで学校を後にした。彼女には前世の記憶がひとつもない。そんな中、俺と再び幼馴染として隣にいたことは奇跡だと思っている。
電車の改札を出て、あるカフェに入って行く。
「待たせたか?」と見知った後ろ姿に声をかければ、桜の髪飾りが揺れた。ううん、全然と微笑む彼女の前に座る。
「ーーー杏寿郎も飲む?」
「Aが飲むものは甘すぎて飲めない!」
「さつまいもフラペチーノだよ」
「前言撤回する。いただこう」
佐倉A。
年は前世と違い3つ離れてはいるが、前世と何ひとつ変わらない愛らしさだ。前世のように家柄に囚われる必要がない。跳ねてる、と手を伸ばし髪に触れてくる彼女の手を掴んだ。
「A。ひとつ聞きたいことがある。どうして俺との結婚を決めてくれたんだ?」
「え?」
「君と出会って20年。ずっと幼馴染という関係に甘んじて、君に想いすら伝えず、伝えたと思った瞬間に結婚を申し込んだ男だぞ」
Aはクスクスと笑うと「だって、」と言葉を紡いだ。微笑む姿に、胸がくすぐられる。
「私は、昔も今もずっと杏寿郎のことが好きだったんだもん」
「むむっ。A、今すぐ婚姻届を出しに行こう」
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「ねぇ、杏寿郎。私、白無垢が着たいな」
「ドレスとやらでなくて良いのか?」
「うん。私ね、杏寿郎と
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「ーーーよもや、君は………?」
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ー完ー
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年10月26日 20時