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非番が貰え、煉獄家に戻る。
千寿郎に頼み、Aをそれとなくここに連れてきてくれと連れてきてもらえば、思っていた通り彼女は俺を見て嬉しそうに顔を綻ばせた。
すでに完治した腕を広げて、「おいで」と言えば彼女は嬉しそうにやってくる。抱きしめられ、抱きしめ返す。
愛しい彼女は「会いたかったです」と俺の胸に顔を埋めた。「そうしていると顔が見えない」と彼女の頬を包み込むように上を向かせた。
「相変わらず綺麗な瞳だなA」
微笑む姿もまた愛い。
いつも許可を取って接吻をしているが、今日は許可を取るのを忘れ、その唇に接吻を落とした。
「………むっ!悪い!」
「そんなことありません。もっとしてください」
「よもやよもや、今日はヤケに素直だな」
もう一度接吻をしていると、反対側の襖から「兄上、Aさん、お茶をお持ちしました」と千寿郎の声が聞こえた。
恥ずかしがってはすぐに俺から唇を離すAは顔を赤くしていた。中に入ってきた千寿郎は不思議そうに俺とAの微妙な距離を見ては笑った。
「兄上、作戦は成功しましたか?」
「うむ、助かったぞ千寿郎。感謝する」
三人で茶を飲み、ここに3日ほど滞在したら御館様のお屋敷にいく話をした。先日、鴉からきた司令は2つ。一つは、3日間の非番、そして二つはその後御館様のお屋敷に行き、直接伝令を聞くことだった。
「それでだが、A」
「はい」
「……………その、だな」
言葉を詰まらせる俺に、Aは優しく「どうかしましたか?」と聞いてくる。まともに時間を取れるのは久方ぶりであるが故に、彼女を逢瀬に誘うのについ詰まってしまった。
逢瀬に誘うのはこんなに恥ずかしかっただろうか。
「杏寿郎さん?」
「……明日、俺と出かけてはくれないだろうか?」
千寿郎が見ている前で気恥ずかしいが、そう誘えばAは笑って「珍しいですね」と言った。
「もちろんですよ、杏寿郎さん」
「うむ!」
間をおかずすぐ返事をしてくれる。
彼女の嫌がることはしたくない。想いを伝える前、そう思っていた。だが、嫌がる素振りも見せず、嬉しそうに俺を見る彼女に、「楽しみだな」と呟いた。
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るる - 読んでる途中に目から水が、、、、、、、、 とってもいい作品でした!!!!!! (7月25日 14時) (レス) @page50 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 初めまして!涙なしに観れませんでした… (2021年9月26日 18時) (レス) @page50 id: fb083d1d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し12758号(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます…!一話目から引き込まれて全て読みました、鼻水まで出してみっともない泣き顔で読んでしまいました…笑笑映画でもボロ泣きしましたがこれでも号泣してしまいました、素敵な話が読めて良かったです。本当にありがとうございます! (2020年11月23日 19時) (レス) id: 3be706ff9b (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 初めまして!このお話を深夜に見かけ一気に読みました。映画でも泣きましたが、このお話も号泣でした。素敵なお話ありがとうございます。何度でも読んでしまいそうです。 (2020年11月23日 2時) (レス) id: b7bf575f91 (このIDを非表示/違反報告)
raaaaaaam(プロフ) - 初めまして!私も一気に読み、深夜なのに号泣笑 隣に寝てる子供が起きるぐらい泣いてしまいました笑 煉獄さん、、最高!素敵な夢を見させて下さりありがとうございます(T_T) (2020年11月20日 4時) (レス) id: c6906907ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年10月26日 20時