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村に滞在して2日目の夜。
周辺を見回った後、不死川さんと合流し、村人の安全の確認をしに行こうとすれば、大きな悲鳴が聞こえてきた。聞き覚えのあるその声は、私たちが下宿させてもらっている家の女の子だった。
顔を見合わせて、その屋敷に向かうと女の子の弟が鬼に担がれていた。私たちを見るなり、殺される恐怖か背中を向けて走り出す。
二人で鬼を追うけれど、異常に足が速い。私たちでさえ、剣士になるのに相当な体力をつけ、足は速くなった方なのに、追いつけない。
追いつくにはどうすれば……と考えながら走っていると、不死川さんがいきなり「おい鬼ィ!!」と叫んだ。そして立ち止まった彼は刀を鞘から抜き出すと、鋭い刃を自身の腕に当てがった。
「………なっ、何を?!」
みるみる溢れ出る血に、走っていた鬼の動きがピタリと止まる。鬼は担いでいた男の子をその場に落とすように離すと、こちらにうつろうつろにやってくる。
何が起こったのか全くわからない。
けれど、不死川さんの腕から垂れる血に鬼が反応したように見えた。
「そうだァ、こっちに来やがれ鬼ィ!!」
鬼の方へと歩き出す不死川さんに手を伸ばし、「殺」と書かれた羽織を掴む。グィッと引っ張れば、後ろに尻餅をついた。すごい形相で睨まれるが、そんなことを言ってる暇じゃない。
「これで腕、縛って止血してください」
「てめぇ、何しやがんだァ!!」
「説教なら後でいくらでも聞きますから!!」
そう叫んでは地面を蹴って、鬼に近づく。
よろよろとまるでお酒に酔っているかのような足取りの鬼に、日輪刀を振るった。
「風の呼吸、壱ノ型塵旋風・削ぎ」
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呑子(プロフ) - 2話のひなき様がひなぎ様になってます (2020年6月11日 21時) (レス) id: b937ad49b1 (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - きゃああああ名前で呼んで欲しいってとこ可愛すぎぃぃいいいい (2020年5月29日 17時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花(プロフ) - ぐはっ!告白ぅぅぅ!!尊い!!!死ぬ!!!! (2020年5月25日 23時) (レス) id: c8a359bcaf (このIDを非表示/違反報告)
Ø(プロフ) - こんなに素敵な小説に出会えてよかったです!大変かもしれないですが無理せずがんばってください!応援させていただきます!! (2020年5月21日 0時) (レス) id: 712c3e0bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハチハチ1129(プロフ) - 美桜さんの作品最高です!私も逮捕されたい、補導されたいと思いました(*^ω^*) (2020年5月19日 6時) (レス) id: 12ce184d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月16日 13時