おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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「オイ、隼人」

「わー！実弥兄ちゃん！！」



私は思いました。

弟に先を越されたと。あまり恋人らしいことは出来ていないけれど、不死川さんとの関係も徐々に深まっているし、好意を持たれているのを身に染みて感じるから幸せなんだけど。


ここ最近、よく弟の隼人に嫉妬してしまっている自分がいる。その理由は明確にわかっている。……名前呼び。


もとより部下と上司の関係だったし、むしろ嫌われてたぐらいだから「風門」と名字で呼ばれるのは当たり前だろうけれど。隼人のことを「隼人」と呼んでいる彼をみて、隼人が羨ましく感じてしまう。


縁側で遊んでいる二人を見つめていると、少しして不死川さんが隣にやってきた。「何つまらなそうにしてんだァ」と頬を抓る。



「…………あの、不死川さん」

「なんだァ」

「…………いい天気ですね」



私も名前で呼んでください……なんていい年した大人が言えない。恥ずかしい。彼は空を見上げて、あァと軽く頷いた。



「言いてェことがあんなら遠慮せず話せ」

「え？」

「俺に何か言いてェんだろォ」



「お前が望むことは叶えてやっから」という不死川さんに、ドキドキしつつ口を開いて言おうとすれば、隼人が私に抱きついてきて「姉ちゃんは名前で呼ばれたいんだよ」と叫んだ。


隼人の口を塞いで「ち、違……わなくもないんですけど、違いますっ」と否定を否定する。カァッと体温が高くなる。隼人の口を塞いだまま抱っこをしてあげ、赤面した顔を彼に向ける。



「…………私も、名前で呼んで欲しい……です」



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