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最終選別6日目。
「………………あ…………っ………う…そ」
片手に握った日輪刀を力強く握り直した。
目の前で血塗れになった彼女を見て、立ち尽くす。彼女は涙を流して、亡き家族に助けを請うていた。そんな彼女に私は何ができる?
「…………女の餓鬼は美味ェ。お前は更にうまそうな匂いがするなァ…」
「………………」
後一日、ううん数時間だったのに。もう夜明けも近いはずだったのに。
私にとって、初めてできた女の子の友達。初めてだった。あんなに仲良くなれた子。また呆気なく鬼に奪われた命。
ハラリと流れ落ちた涙に、息を深く吸った。そして、気がつけば地面を蹴ってその鬼に刃を向けていた。それからは何時間経ったのかわからなかった。ただわかるのは、そこら辺にいる鬼たちの首を斬り落としまくっていた。
我に返った時には、もう夜も明けていて、陽の光が目に差し込んでいた。それが異様に眩しくて、目を細めながら歩き出す。
7日前、30人ほどいた剣士になりたいという者たち、今ではたった7人しかいない。小さな女の子の話を放心状態で聞きていた。
「…………重い、」
疲れ切った体も重いし、真新しい鬼殺隊の隊服も重い。精神的にもだいぶん参っている。大きなため息を落としながら、帰路につきお屋敷に向かう。
私を待ってたかのように、屋敷の門の前で待っていた師範。無表情で「無様だなァ」という彼に、私は唇を噛み締めた。
「私、ちっとも成長してないかもしれない……。せっかく出来た友達も死なせてしまって……、私全然強くなんてなってないんです……っ」
「…………」
「師範、私もっと強くなりたい……っ」
泣くな、何度もそう心の中で叫ぶけれど無理だった。涙を堪えるけれど、溢れ出してくる。そんな私を彼は黙って抱き寄せた。
「自分の強さを誇れ。この世の中、弱ェ奴から死んでいく。だから生き残ったてめぇは強ェ」
「…………師範、」
「それとも、俺の言葉が信用できねぇかァ?」
私の頬を包み込む暖かい彼の手。
下を向いていた私に上を向かせた師範は、「よく帰ってきたァ、ほら笑え」と手に力を入れた。彼の手に挟まれた私は、師範の手の上に手を合わせ「痛いですよ、」と涙で濡れた笑みをこぼした。
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*ネタ切れなうと体調不良なぅダブルパンチです。更新遅めですみません、、!
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めい(元れん☆)(プロフ) - はじめまして!ここまで一気に読ませていただきました!とても幸せな気持ちです本当にありがとうございます!私もこのようにすてきな作品を残せるよう頑張ります、これからも応援しています! (2020年10月27日 0時) (レス) id: fb108a381a (このIDを非表示/違反報告)
koyuzuki0627(プロフ) - 夢主ちゃんも不死川さんも可愛いですね〜読みながらしWWWなずWWWWWWがわWWWさんっWWWWWWってなることが多かったです私は恋愛オチが良いです (2020年2月3日 1時) (レス) id: a9af658367 (このIDを非表示/違反報告)
ハミイ(プロフ) - 師弟オチもいいですが、私は恋愛オチの方がいいです!! この小説とても面白いので、いつも更新楽しみにしています!!応援しています!! (2019年12月25日 0時) (レス) id: 8cc530c36f (このIDを非表示/違反報告)
い ち ご ミ ル ク(プロフ) - 師弟もいいですが、やはり恋愛オチの方が私は好きです。これからも頑張ってください! (2019年12月25日 0時) (レス) id: 49aff0a89f (このIDを非表示/違反報告)
あり - いつも楽しみに読ませて貰ってます!師弟オチでお願いします! (2019年12月25日 0時) (レス) id: 5ec8350380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2019年12月8日 18時