62 ページ19
*
「は?高専に帰ってこいだァ?!」
かかってきた電話に出た悟くんはひどく顔を歪めて、相手にそう聞いていた。私の隣にいる夏油くんは「全く忙しいのも困ったものだね」といい、悟くんに代わりに電話で誰かと話していた。
「悟、次の任務が入った」
「嘘だろ。俺とAの記念旅行もう終わりとか信じらんねぇ」
「記念旅行って私も一緒だったけど」
私抜きで話をしている彼ら。
悟くんは私の隣に座ると「悪い。帰んねぇと」と不貞腐れた表情を見せる。そこで、あぁ、そうか悟くんと夏油くんとの残りの旅行を楽しめないのかと残念な気分に陥った。
仕方ないねと口元を緩めつつも、表情には気持ちが出ていたようで悟くんに頬を引っ張られた。悟くんは「これから先は何もない日は全力でお前のために費やす」と言う。
「………修学旅行戻れよ」
「え?」
「泣いてたお前放っておけなかったから早退つって連れてきたけど、本当は楽しみたかっただろ?」
もちろん楽しみたかった。けれど、悟くんに気持ちを伝えて、それよりも今は彼と一緒にいたかった。
悟くんは荷物をまとめると、私のキャリーケースも持ってホテルを一緒に出た。送ってくれた場所は、修学旅行で泊まっているホテル。ホテルのエントランスから出てきた二宮くんが走ってこっちにやってくる。
「てめぇにA預けるの胸糞悪ィけど」
「水瀬にはちゃんと青春送ってもらわないといけないだろ?」
顔は笑顔だけど、目は完全に笑っていない。
ただならぬ不穏な空気に、周りの人たちの視線。それよりも、周りの女の人の視線が悟くんに集まっていく。
「悟くん」
「なに?」
悟くんが高い背を曲げて、耳を傾けた。
手を伸ばして彼の服を掴む。必死の力で引き寄せて、悟くんにキスをした。
誰も、見ないで。こんな私でも悟くんは可愛いって言ってくれる。この人は、私の好きな人。周りの女の人たちに牽制するように、見せびらかす。
「今度からは会いたいときに会いたいって言ってもいい?」
「良いに決まってんだろ」
.
1548人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時