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大学生活3年目。
玄弥の家に課題をしに昨日の夜から泊まり込みで来ていた。喉が渇いてしまったため、玄弥に言って台所に向かったところ、冷蔵庫の中と睨めっこする羽目に。
お茶ボトルが二つある。
お兄さんと二人暮らしをしていることは知っていた。どっちかがお兄さんので、どっちかが玄弥のお茶なんだろうな。けど、どっちかまるでわからない。
「何やってんだ」
間違ってお兄さんのを持って行ったら、お兄さんに悪いなぁと思っていると声をかけられた。顔だけをその声のするほうに向ける。そこには白銀の髪を持つ男の人が立っていた。髪の色は玄弥とは似つかない。けれど、どことなく似ていた。
「玄弥の、お兄さんですか?」
「あぁ」
「よく似てますね。目元そっくりですね」
視線を冷蔵庫に戻し、どれだろうと再び悩んでいるとどうしたと聞かれ「お茶が二種類あるんです」と呟いた。お兄さんはあぁ…と察したのか、伸ばされた腕が私の顔の横を通った。
甘い小豆のような匂いが鼻を掠める。男の人にしては珍しい匂いだなぁと伸ばされた腕を見つめる。ちょっとした傷がかっこいいと思ってみたり。
玄弥の茶はこっちなと手に取ってくれたそれを受け取った。頭を下げて礼を言う。彼は台所の先まで行き、食器棚を開けて何かを探していた。
「あの、騒がしかったら言ってください」
頭をもう一度下げると、人数分の紙コップを袋から出して玄弥の部屋へと戻った。課題を必死にやっている友達の姿を見て、声を出して笑う。あれだけ余裕だと自信ありげに言ってた伊之助も今では頭を抱えている。
「玄弥、お兄さんってもしかして夜勤明けだったりするの?」
「うん、そうなんだよ」
だから静かにしろよなとみんなにいう彼に、魔を取らず「もう帰ろうよ」とお開きにすることを勧めた。帰りの支度をし、みんな帰っていく中、玄弥にこっそりと耳打ちする。
「お兄さんにごめんなさいって伝えててくれない?」
耳を真っ赤にさせた玄弥は「うん」と頷いた。
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時