夜兎女の攻略法.【沖田総悟】

93 ページ45

*


午後になると、布団に横になってゆっくりしていた。寝ようとしても眠れないし、ゴロゴロとずっとしているだけだった。



「銀さーん」



「ひーまー」と彼を呼ぶけれど、リビングにいる彼は「俺は暇じゃねぇ」と相手をしてくれなかった。こんなに元気なら仕事ふつうに行けたのではないだらうかと思えるぐらいだ。行ったところで追い返されるだけだけど。それに昨日の今日で総悟に会うのは気がひける。


ピンポーンとインターホンが鳴り、銀さんが行く足音が聞こえる。匍匐前進し、ちょっと襖を開けて寝室から玄関の方を伺った。


真っ黒なズボン……顔確認しなくてもわかる。……総悟じゃん。すぐさま顔を引っ込め、静かに襖を閉めた。



「これ、アイツが好きそうなもん適当に買ってきたんで」

「へェー、様子見て行くか？アイツ熱あっけど、暇だからってゴロゴロしてるぜ」



銀さん余計なことは言わなくていい。
そう叫びたいけれど、今のこの状況で言ったら盗み聞きしていると思われてしまう。来るかもしれないと思ったけれど、総悟は「遠慮しときやす」と丁寧に断っていた。


「Aをまた傷つけちまいそうなんで。それにアイツも会いたくねぇでしょうよ」と言っていた。私のことをそこまで考えてくれてるんだと嬉しく顔がにやけそうになる。


総悟が帰った後、銀さんは彼が買ってきたという食べ物を持ってきてくれた。私が好きそうなものを選んでくれたって言っていた。なんだろうとウキウキしながら袋を開ける。


……激辛せんべい、激辛ラーメン、激辛ゼリー、激辛ちゃんぽん、激辛うどん、激辛激辛激辛激辛激辛激辛激辛激辛激辛激辛激辛激辛。ほほ激辛だ。



「私、このふつうにノーマルな桃ゼリーしか食べれないんだけど」



本当に私のことをわかってんのかな、と笑いながら中に入っている激辛食品を机に並べて見た。激辛ゼリーなんて初めて見るものもある。



.

94→←92

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す