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傘を差し、もう一本は片手に持つ。
そして歩いてついた公園にはもうA以外、誰一人いなかった。木の下や屋根のあるところに逃げもせず、そこに立っては雨に濡れているAに近づいた。
びしょ濡れになるAの前髪は重たくなって、彼女の目が見えなくなっている。近づいてきた足音に気づいたのか、顔を上げて、人物確認をした。沖田君でないとわかったAは下を再び向いた。
「……帰るぞ」
「……帰んない」
そう言うと思ったぜ。
俺の傘をAの上に持ってきてやる。近づけば近づくほど気づいたが、Aが震えていることに気がついた。いつから雨が降っていたのか、どれぐらい濡れていたのかわからねェけどずっとここで待っていたのだろう。
「銀さん、私漸くわかったの」
「……何がだ」
「総悟に拒絶されてすっごく悲しくって。私は総悟のことが好きなんだって」
長い時間がかかり、漸く自分の気持ちに気がついたAに「……よかったな」と目を細めて言った。彼女の頬からは雫が垂れていく。「来てくれなかった」と涙交じりの声に「風邪引くから今日は帰るぞ」ともう一本の傘を広げAに手渡した。
その傘を受け取る前に、俺の目の前でぶっ倒れたA。スローモーションのごとくゆっくりと倒れたAをギリギリの位置で支えてやる。「総悟…」と呟く其奴にため息を吐いて、Aを背中におぶってやった。
「……餓鬼だな」
せっかく傘を持って来ていたのに、これじゃあ意味がない。びしょ濡れのAを背中におぶることで、背中がどんどんAが持つ水分に侵食されていく。こりゃァ、万事屋戻って此奴を寝かせたら、もう一回外に出ていかなければならないようだ。
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美桜(プロフ) - non@nqrseさん» 返信遅くなってすみません!興奮したまま最後まで読んでくださいね!それと御指摘ありがとうございます。なおしておきました!まだまだこれからもよろしくお願いします! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神鬼*conさん» 返信遅くなってごめんね(土下座)珍しくやる気出てきてて、すらすら文が思いついちゃうんだよね笑まだまだ更新早めていきますよ〜! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 連続コメントすいません!62話と63話同じになってます!! (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 続編御目出度う御座います&有難う御座います!吉原の神威が出て来た所から興奮状態です!!!!更新頑張って下さいいいいい!! (2018年9月20日 13時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
神鬼*con(プロフ) - うおわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!続編おめでとう!更新スペース激早でビックリしてます!むりは程々やで!!楽しみにしてます! (2018年9月19日 19時) (レス) id: af0d4e115f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2018年9月19日 19時