夜兎女の攻略法.【沖田総悟】

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連れてこられたのはホストクラブだった。
中に入って早々、顔面偏差値の高い男たちに囲まれ固まってしまう。



「万事屋さん、珍しいですね」

「おう、この恋愛初心者に恋愛っつーもんを教えてやろうと思ってな」



いやいやいや、恋愛初心者ですけども。だからってなんでホストクラブなわけ？このやたらイケメンな男たちがベタベタとしてきて逆効果になりそうじゃん。


「ちょ、銀さん…！」と彼に助けを求めるけど、銀さんは「俺、とりあえず酒くれ」と注文をし始める。



「Aさん、ホストは初めてですか」

「……ええ、まあ」

「今日は遠慮せずに俺たちに甘えちゃって下さいね」



誰が甘えるか。
そう言いたくなるけれど、黙っておこう。時間が過ぎれば銀さんも諦めて連れて帰ってくれるだろう。


私に恋愛というものを教えるって言っていたけど、絶対自分がお酒飲みたいからでしょ。ここで恋愛なんてわかりっこない。そもそもこんな女好きな男たちと総悟とでは全然違うじゃないか、



「Aさん、人を好きになったことありますか？」

「いや、それがわからないから銀さんに相談したんですよ…」



銀さんを一瞥すると酒瓶を片手にゲラゲラとここの店長さんとゲラゲラ笑っている。

「今までに男性経験は？」とまた同じような質問をしてくるホストたち。男性経験って一体なんだろうと困っていると、「周りに男の人はいなかったんですか？」と言い直して聞いてきてくれた。



「……一人だけ、」



それはもちろん神威一人だけだ。

目を伏せては吉原で会った神威の姿を思い浮かべた。「その人はどんな人だったんですか？」と聞いてくるホストにニコッと笑って「大切な人」だと答えた。



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