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敢えて距離を開けて歩いているのに総悟は私の方へと少しずつ寄ってくる。ちらりと一瞥すると、彼はいつも通りのポーカーフェイスで歩く。
「おい」
「は、はい!!」
急に呼びかけられ、思わず返事をしてしまう。
総悟は「こっちでィ」と言って万事屋への帰り道とは違う方へと歩いて行った。「こっちじゃないの?」と聞く私に、総悟は「お前ェどうせ暇だろィ」と勝手に決めつけては歩いて行く。
確かに暇人ではあるけれど、だからと言って総悟と楽しくお出かけなんてできるほど、今の私の精神状態は良くない。「どこ行くの」と聞いてみると、「俺の行きてェところ」と言って場所は教えてくれなかった。
「ここ?」
「おう」
着いたのは団子屋さんだった。
中に入って行く総悟の後を追って私も中へと足を踏み入れた。団子屋さんのおばあさんに挨拶をしている総悟に並んで私も挨拶をする。
「おばちゃん、御手洗こいつの分と4つ」
「はいよ」
おばあさんに団子を注文した総悟は近くの椅子に腰かけた。その隣をポンと叩く彼。一人分の間を空けて座る私に総悟は無言で詰めてきた。なんか調子狂ってしまう。本当に私のことが好きなんだと感じてしまう。
「ねぇ、私のどこが好きになったの」
「……知らね」
知らないのか、そっかそっか。じゃなくて、どこかがよくて好きになるんじゃないの?
そう疑問に思い、総悟をジト目で見ていると、奴はまっすぐに前を向いて。
「好きになっちまったもんは仕方ねェだろ」
「……」
「知らねェ合間にテメェのこと好きになっちまったんだからよ」
照れもせず、真顔でいうソイツに心がむず痒くなる。まだ少しぐらい照れてくれた方が良かったのに。おばあさんが団子を持ってきてくれ、「彼女かい」と聞いてくる。否定する前に、総悟は「違ェ」と言って、「ま、半年以内にはなると思うぜ」と鼻高々に宣言する。
「総悟の坊やはいい子だよ。おばちゃん一押しだよ」
「…あはは」
おばあさんに余程気に入られているのか、総悟のことをここぞとばかりにオススメしてくる。悪い奴ではないのは私もよく知っている。
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美桜(プロフ) - non@nqrseさん» 返信遅くなってすみません!興奮したまま最後まで読んでくださいね!それと御指摘ありがとうございます。なおしておきました!まだまだこれからもよろしくお願いします! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神鬼*conさん» 返信遅くなってごめんね(土下座)珍しくやる気出てきてて、すらすら文が思いついちゃうんだよね笑まだまだ更新早めていきますよ〜! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 連続コメントすいません!62話と63話同じになってます!! (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 続編御目出度う御座います&有難う御座います!吉原の神威が出て来た所から興奮状態です!!!!更新頑張って下さいいいいい!! (2018年9月20日 13時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
神鬼*con(プロフ) - うおわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!続編おめでとう!更新スペース激早でビックリしてます!むりは程々やで!!楽しみにしてます! (2018年9月19日 19時) (レス) id: af0d4e115f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2018年9月19日 19時