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「イザナ、お前一回帰ったらどうだ?寝てねーだろ」
「うるせぇ」
真一郎が俺の背中にそう呼びかける。
Aの目が覚めないまま1週間が経とうとしていた。
「………なあ、真一郎」
「どうした?」
「神様ってやつは俺からいろんなもの奪おうとするよな」
家族だって。
本当の兄貴や妹だと思っていた。なのに血の繋がりが一切なかった、俺だけが違かった。
惚れた女も奪おうとするのか。とことん俺は神様に見放されてる。これも日頃の行いって言うんなら、今すぐ殴り殺してやる。
「奪ってねぇだろ神様は」
「は、奪ったじゃねぇか。血の繋がりってやつ」
「お前まだそんなこと気にしてたのかよ」
俺の髪をわしゃわしゃと掻き乱してくる真一郎。うざったらしい言動に睨みつける。真一郎はいつものように笑うと「血の繋がりが必要だったら、俺はお前のこと引き取らなかった」と言う。
いつの日か、俺に言っていた言葉。
マイキーにも言われたか。血の繋がりがそんなにも大切なのか、と。
「お前が歩み寄ってくれたから、今がある。お前は大切な俺たちの家族なんだから」
「……………」
「おっ、照れてんな可愛い奴め〜」
「うぜぇ」
そうして真一郎はAの頭を優しく撫でると「だから、神様はお前のこと見放したりしねぇから」と言い、一旦帰って寝ろと。
俺がいねぇ間に起きたらどうすんだよ。
「ところでお前あの日Aちゃんとなんかあった?」
「あ"?」
「医者がな、着替えさせる時にAちゃんの体に、その、な?いろいろとついてあったからってもしかして例の奴らに乱暴されたんじゃないかって」
あぁー、と真一郎から目を逸らす。
病院服に着替えている時点で誰かがこいつの体見てんのに変わりはない。気まずげに聞いてくる真一郎に「やった」と一言呟く。
「………どっちがだ?」
「Aに好きだってつったら、Aも俺のこと好きっつーからその成り行きで。……その帰りだったんだよ」
「そうか、やっぱりイザナとAちゃんは好き同士だったか」
どことなく嬉しそうに笑ってる真一郎を無視する。
俺よりもひと回り小さな手を取り、手のひらの肉をふにふにと触る。この前も思ったが、女っつーのはどこまでも柔らかい。
「神様がいたからまた二人、出会えたんだろ。それに施設にいた頃からイザナ、Aちゃんのこと好きだったろ!」
「……まじでもう帰れよ」
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時