モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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今は昼過ぎだし、本来ならば学校がある。
隆は午前で学校をサボってここにきたらしい。


「飯食うか？」と聞いてくれる彼に、頷けばお母さんが作ってくれてたお粥に一手間加えて卵粥を作ってくれた。これこれ好きなんです、卵粥。



「食べさせてやろうか？」

「い、いい！一人で食べれる！」



フーフーと冷ましてくれていた隆の手からレンゲを奪ってパクパクと食べた。美味しい。お母さんはあんまり料理得意じゃない。けれど、こうしてちゃんと作ってくれる。


小学生の頃もそうだった。
いつも風邪をひいて一人で寝込んでいると隆は勝手に家に上がっていて、お母さんのお粥に一手間加えて私の看病をしてくれる。



「美味しかった。ありがとう」

「フルーツとゼリー買ってきてっけど、食う？」

「………じゃあフルーツ」

「おう、待ってろ」



数分して出されたのは可愛く切られたウサギのリンゴ。私これ今日に切れないんだよね。指切ってウサギのりんごが血まみれりんごになる。私よりも器用じゃないか全くもう。嫁にきてくれ。


一緒に買ってきてくれてた薬を飲んだ後、隆はずっとそばにいた。暫くして眠っているとまた夢を見た。お母さんとお出かけする夢。もう何年もしてない。


お母さんを楽させてあげたかったから、モデルになった。稼げるほど売れているのに、お母さんはまだ仕事をたくさんしている。「娘の稼いだお金に頼るわけにはいかないでしょ？」と言ってた。



「……お母さん、」



ヒヤリと額が冷たくなる。
目を開ければ隆が新しい濡れタオルに替えてくれていて、手を伸ばして「手、」と求めた。隆の手に触れて、自分の頬に持っていく。冷たくて気持ちいい。



「A、俺そろそろルナマナ迎えに行かねーと」

「………やだ、行かないで隆」



ルナちゃんマナちゃんのお迎えを阻止しようだなんて面倒臭い女。そう思われてもいい。昔みたいに私の手を握ってそばにいてよ。


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