手をつないだ紫色の帰り道（Taiko.S） 1 ページ23
幼なじみが、突然消えた。
毎日一緒だった。
気がつくと隣にいて、いるのが当たり前で。
ご飯だって誰がどっちの家で食べたかごちゃ混ぜで。
幼稚園も小学校も一緒に通って。
兄弟みたいに一緒に育った。
その生活は中学に入っても続くものだと思ってた。
でも‥小学校の卒業式が終わった次の日、大きなトラックがやってきて、大光の家の荷物を運んでいった。
「ごめんね、Aちゃん‥。大光がAちゃんには言うなって‥」
大光のお母さんがわたしを気遣うようにしながらポロッと泣いたから、わたしは泣けなくなった。
「ばいばい」
なんとかそれだけ言って手を振った。
大光は最後までわたしの方を向いてくれなかった。
‥居なくなって初めて気付いた、わたしの初恋。
それから一度も大光には会えなかった。
今でもうちのお母さんと仲が良い大光のお母さんは、年に一回くらい家に遊びに来ては、大光の話を教えてくれたり、写メを見せてくれたりした。
「転勤が多くなって転校させるのも大変だから高校から寮に入れたのよー」
男子校だというその寮の話を聞いて、ますます大光の存在が遠くなったように感じた。
それでも大学の付属校だというその学校の名前を聞いて、大学希望調査書にはこっそりその大学の名前を書いた。
でもまさか、同じ学科のしかも隣の席になって再会するとは思ってなかった‥。
「‥なんで？」
「それ俺のセリフ」
「大光わたしのストーカーなの？」
「それも俺のセリフだって！」
「それが6年ぶりに会ったかわいい幼なじみに言うセリフ？」
「つか、お前の地元にも幼児教育科あんだろ？なんで寮まで入ってこの大学来んの？」
「そ、それは‥」
「やっぱり俺に会いたかったんだ」
ニヤリ、と笑う大光の顔をまともに見れないまま、その日は終わった。
それからあっという間に大光は女の子に囲まれるようになった。
もともと女の子ばっかりの学科の中、たまにいる男の子はおとなしめの子ばかりで。
明るくて面白い大光は目立つ存在なんだと思う。
‥何あれ。鼻の下伸ばして。きも。
幼なじみの特権、を活かせないままで大光との距離は縮まらなかった。
ずっと会いたかったんだよ。
元気だった？元気にしてた？
わたしの事、思い出す時あった？
そんな事は言えないまま、ただ月日は経った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぷる(プロフ) - ^_^さん» コメントありがとうございます！嬉しいです♪ 女の子がお相手のお話、また書きたいなぁと思っていました！続編になるか、別の設定になるか分かりませんが、ちょっと大人な感じも混ぜながら書いてみたいと思います。気長にお待ちいただけると嬉しいです♡ (2022年5月19日 18時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
^_^ - こちらも読ませて頂きました。どのお話も素敵でした。みんならしさがでていて、楽しかったです！このお話達の続きも読んでみたいし、裏のお話も描いて頂けたらとっても喜びます(*^^*)ご無理の無い範囲でお願いできたら嬉しいです。 (2022年5月19日 14時) (レス) @page43 id: b1e5679418 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぷる | 作成日時：2022年2月26日 16時
