桃緑 1 ページ48
最近、こんぴが笑わない。
それを最初に口に出したのは俺。
真っ先に頷いたのは矢花。
大光は「そうか？」って言った。
琳寧は「こんぴ、マイペースだから」って言って、
嶺亜は「ちょっと様子見ようって思ってた」って言った。
「言い出しっぺだから克樹の係ね」
嶺亜に探りを入れるように命じられて、渋々こんぴの元に行った。
探れって言われても‥俺そういうの苦手なんだよな‥
思いながらおずおずとこんぴに近づいたら
「克樹」
こんぴは小さくニコッとした。
あれ？こんぴ笑った。
ちょっとホッとしながら声をかけた。
「あー。こんぴ、ご飯行かない？」
「‥ みんなで？」
「‥サシは？」
「じゃあ行く」
あっさりと了承されて、こんぴとご飯に行く事になった。
「何食べよっかー」
気が重い、なんてさっきまで思ってたけど食の好みが合うこんぴとご飯食べに行くのが単純に楽しみになってきた。
「なんでもいいよ。克樹となら」
「？」
「‥克樹、美味しいトコ知ってそうだから。任せる」
「じゃあさ。海鮮の美味しい居酒屋があるんだ。個室もあるし。そこでいい？」
張り切って他のメンバーとは行った事のない、とっておきのお店を選んだ。
「んー！美味ーい！」
本来の目的をすっかり忘れて食事を楽しむ俺に、こんぴは目を細めてるように見えた。
「こんぴとサシ飲みって珍しいよね。ご飯は行った事あるけど、飲むのは初めてじゃない？」
「ん‥。俺、誰かとふたりで飲みに行くのって初めてかも」
「そうなの？」
聞き返しながら、そういえばそんな話聞いた事なかったな、って思う。
もしかしてこんぴって色々無理してる？
ちょっと胸がチクッと痛んだ。
「最近こんぴ元気無いって、みんな心配してたよ？」
「あー。ごめん。さすがに疲れてるかも。丸一日オフの日がずっと無いから」
「じゃあ早く帰りたかったよね。俺の誘い、無理しなくて良かったのに」
慌てて言う俺に、こんぴはちょっと微笑んで言った。
「いいよ。克樹が食べてるとこ見てるの好きだから」
ふふ、と笑った俺にこんぴはまたちょっと笑った。
「克樹はエラいよ。いっつもニコニコして」
「あー、俺多分体力ある方なんだと思う。それに、笑ってた方が楽なんだよね」
そう言ったらこんぴの顔がちょっと曇ったように見えて、慌てて言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りぷる(プロフ) - 靴下さん» コメントありがとうございます！励みになります！素敵な感想を書いてくださってとでも嬉しくなりました。拙いお話ですが、またお読みいただけると嬉しいです。 (2022年1月6日 5時) (
レス) @page39 id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
靴下 - 素敵なお話ありがとうございます！特に赤緑の、お互いへの信頼感がつくる2人だけの世界が大好きです！虹色mixの、それぞれの関係性と個性の違いをよく考えられていて6人がもっと好きになりました！更新楽しみにしております！ (2022年1月6日 2時) (レス) @page42 id: 1eafe779d8 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん♡ コメントありがとうございます！ いつも本当に励みになります。かわいいって言ってもらえて嬉しいです。名無しさんも更新楽しみにしてます！ (2021年11月22日 2時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！主さんの書かれる緑くんがとってもかわいいです❤︎ (2021年11月21日 23時) (レス) id: 0ca7a49390 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさん！いつもコメントくださってありがとうございます（╹◡╹）♡ とっても嬉しいです！名無しさんの更新もいつも楽しみです！ (2021年11月11日 20時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りぷる | 作成日時：2021年11月6日 21時
