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克樹は誰にでも優しいけど
誰にでも心を開くわけではない。
観察しているうちに気付いた事のひとつ。
どうやったらもう少し近づけるんだろう。
そんな事を考えていた日のダンス練習終わり、
シャワー浴びて帰る途中、
控室のドアを開けたら克樹がひとりで泣いていた。
感動しやすい方なのかライブや舞台終わりにうるうると涙を溜める姿はたまに見る事があったけど、
そんな涙じゃない。
苦しそうに絞り出すようにしながら音を立てずひとり泣いていた。
見てはいけないものを見てしまった‥そのまま控室のドアを閉じた方がいい様な気がして後ずさった瞬間、
目が合った。
慌てて顔を背けようとする姿に胸が痛んで
思わず部屋に入り手に持っていたタオルを渡す。
克樹は無言でタオルを受け取って顔を埋めた。
「‥大光、これ臭いよ」
呟く克樹に
「あー、それ1週間は使ってるからな」
言ったら、
まだ目が赤いまま笑って、タオルを返してきた。
使ってたのせいぜい3日だけど、笑って欲しくて大げさに言った。
「俺の匂い、好きだろ」
もうひと押し、笑わせようとしたけど
「んー。まぁ、嫌いじゃない」
軽く流されて終わった。
俺には話したくないだろうな、
そう思って涙のわけ、聞くつもりはなかったけど
克樹はひとりごとのように、ポツリポツリと話始めた。
仕事と学業、どちらにも手を抜いてるつもりは無いけど、
どこに行っても
「じゃ無い方」の影を色濃く見られる。
懸命にやればやるほど「どうせ腰掛けだろ」と言われる。
自分だけならいいけど
メンバーまでが言われていたのを聞いてしまった。
自分で選んだ道だけど、メンバーに迷惑かけるのはやっぱり辛い、と。
「ごめんね」
と、ポツリと呟く克樹の肩が小さく思えて愛おしかった。
「俺は‥何も迷惑かかってないよ、別に」
そう言ったら「大光、意外と優しいよね」とちょっと笑った。
意外と、は余計だろ。
そう言わせたかったんだろうけど。
「だろ？」
克樹の顔を覗き込むように言ったら‥
克樹のまだ少し濡れた瞳に吸い寄せられるようになって
思わず克樹を抱き寄せてしまった。
「‥何処に居たってお前はお前だよ。
お前の居場所は‥とりあえずここにしとけ」
自分でも何でそんな訳わかんない事言ったんだか分からないけど、口に出してた。
克樹は
「‥大光の匂い、やっぱり嫌いじゃない」
と言って俺の胸の中で笑った。
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りぷる(プロフ) - ベルマークが100個１００個さん» コメントありがとうございます♡感想言っていただき励みになりました。なかなか更新出来ていませんが、これからもお読みいただけると嬉しいです！ (5月14日 17時) (
レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
ベルマークが100個１００個 - 面白いと思いますこれからも期待してます (5月14日 16時) (レス) @page33 id: 9c8e27407b (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - 名無しさん» 名無しさんコメントありがとうございます！嬉しいです！あったかいお言葉いただきやる気が出ました！名無しさんの事も応援してます！ (2021年9月8日 16時) (レス) id: 37903b9c18 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - 遅れましたが移行おめでとうございます〜！りぷるさんが描く白さんが大好きです……！これからも応援してます(^^) (2021年9月8日 15時) (レス) id: 8d128bf771 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2021年9月4日 11時
