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黎ちゃんのアパートに帰る途中、『黎ちゃんおすすめ』の唐揚げ屋さんでお弁当を買って帰った。
食べ終わって台所で肩を並べて片付けしたりしていると、まるで黎ちゃんがうちに泊まりに来た時にあれこれと手伝ってくれている時と変わりなく思えた。
黎ちゃんはいつもと同じ優しい黎ちゃん、で。
彼女じゃない人を家に泊めるような人だってわかっても
大人には色々あるの、なんてズルい言い方をするのを聞いても
黎ちゃんへの想いは消えていくはずもなくて。
むしろ報われない恋をしている黎ちゃんが、愛しく思えて仕方なかった。
それからだんだんと、黎ちゃんのことを大事にしないあの女の人を許せない、って気持ちが膨らんできて、
眠れない夜、
アパートの薄いカーテンから近くの街灯の灯りが差し込んで真夜中なのにやけに明るい部屋の中、
わたしにベッドを使わせてくれて自分はコタツに寝転がった黎ちゃんの
寝息を立てる薄い背中が、呼吸に合わせて揺れているのをずっと見ていた。
黎ちゃん‥
わたしはそろそろとコタツの掛け布団をめくって、黎ちゃんの背中を抱きしめた。
「Aちゃん？」
寝ぼけた黎ちゃんが、ちょっと掠れた声でわたしを呼んで、寝返りを打つようにしてわたしの方を向いた。
「わたしだったら黎ちゃんを傷つけたりしないのに」
ちょっと手が震えてしまったけど、パジャマのボタンを自分でひとつずつ外した。
「誰にも内緒にするし、すぐ忘れるから‥」
わたしの薄い胸が露わになって、
シンと静かな部屋の中、お互いの呼吸する音だけが微かに響いていた。
黎ちゃんは何も言わなかった。
それでも沈黙は拒絶とイコールだってことは、わたしにもわかる。
「なんで？
彼氏いるのに泊まってく女の子と同じことすればいいだけでしょ？
ずっと目瞑ってていいから。その人の代わりにしていいから」
「馬鹿なこと言わないの」
ようやく口を開いた黎ちゃんの、なだめるようなその声の優しさが、余計にわたしを傷つけた。
「俺、Aちゃんのこと大事に思ってるよ」
「そんな決まりきった台詞言わないで
そんなつまんないこと言わないでよ‥！」
黎ちゃんは涙声になったわたしの頭を撫でて、わたしが脱ぎかけたパジャマのボタンをひとつひとつはめてくれた。
「はい、出来た」
黎ちゃんはそう言って、わたしの肩に手を置いた。
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りぷる(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます。『最後のひとりになるまで‥』って力強い言葉に励まされました。全然前向きになれなくて落ち込んでばかりですが、みなさんの優しさに感謝しています。お話、いつかかたちにしますね。らさんもご自愛くださいね。 (3月3日 21時) (
レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ら - いつも楽しいお話をありがとうございます。りぷるさんのお話に救われてきました。私も永遠に、もう最後の1人になるまで侍の亡霊でいます。りぷるさんこそ、身体を壊さないように過ごしてくださいね。りぷるさんのタイミングでお話待ってますね、！ (3月3日 5時) (レス) @page41 id: 66c75fb8b7 (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - ぷーさん» コメントありがとうございます。まだまだ気持ちの整理がつかない日々ですが、共感してくださる方がいることで、救われた気持ちになりました。少しでも幸せな気持ちになっていただき、わたしも幸せです。ぷーさんもご自愛くださいね。 (2月28日 13時) (レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
ぷー - 7MEN侍を忘れられないままこの小説に辿り着きました。毎日涙しか流せない日々に疲れきっていましたが、この小説を読んでいる間は嫌なことを忘れることができ幸せな時間でした。また楽しみにしています (2月28日 4時) (レス) @page41 id: 2925fe515f (このIDを非表示/違反報告)
りぷる(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます。まとまらない気持ちを吐き出してしまってごめんなさい。そして受け止めてくださりありがとうございます。突然宝物を奪われたようで今気持ちの持って行きようがありません。ゆきさんもどうかご自愛ください。 (2月18日 10時) (レス) id: fcab587f4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りぷる | 作成日時：2023年12月7日 19時
