��-3 ページ42
物が少なく落ち着いた雰囲気の兄の部屋は、その時の俺の心を落ち着かせるには十分で。
ベッドに座らされた俺は、横に座る兄に謝ることしかできなかった。
冷静に考えたら、だ。
やはり兄にする相談ではなかった。
苦しいのは兄とて一緒。
彼だってテニスが好きで始めて。
嫌いで辞めたわけではない。
俺さえいなければ…
そんな思いが頭を過ってしまう。
「何度もお前がいなければって思った」
ほら。
でも、言葉とは裏腹にその声色は優しいものだった。
「でも。お前を責めてもしょうがないこともわかってた」
だから、テニスを辞めたのだ、と。
「他に何かやろうとも思ったけど、やっぱりテニス以上に夢中になれるものなんてなくてさ」
後ろに手をついて天を仰ぐ兄のことを、俺は直視できなかった。
こんなにもテニスが好きな彼から、俺がテニスを奪った。
「結果を残す弟を見てるのも嫌で、こうして閉じこもってた」
内容とは反し、そのため息は清々しそうだった。
「なぁ、A」
兄の視線が俺を捉える。
「俺のために…テニスをしてくれないか？」
「え…？」
言っている意味が今一理解できなかった。
「『兄の分まで』じゃない。『俺のために』テニスをしてほしい。そしたら俺は踏み出せる。Aが楽しくテニスをするために、全力でサポートする。Aと俺、2人で1人になろう」
兄のその提案を断る理由はなかった。
俺が兄からテニスを奪ってしまったのだから。
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夏生莉緒(プロフ) - 夕霧さん» コメありがとうございます！コメ頂けると更新の活力になります！頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いいたします^ ^ (2018年8月9日 16時) (
レス) id: e266ffce5d (このIDを非表示/違反報告)
夏生莉緒(プロフ) - 鈴さん» コメありがとうございます！これから過去編に入ります！末永〜〜くお付き合い頂けると嬉しいです^ ^ (2018年8月9日 16時) (レス) id: e266ffce5d (このIDを非表示/違反報告)
夕霧 - 次がとても気になります!これから更新頑張って下さい！ (2018年8月2日 1時) (レス) id: 8fe2495ae6 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 夢主くんの性格がどストライクすぎて好きです！続きが気になりますね！更新頑張ってください応援してます！！ (2018年6月3日 19時) (レス) id: c43d6d3e45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏生莉緒 | 作成日時：2018年5月17日 23時
