木槿のふたり (ページ20)

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小鉢と生姜焼きページ20

「あ、ごめん、話しすぎた！」
「全然、聞いてて楽しかったです」

「熱があがるとついつい語っちゃうんだよなあ～」なんて照れ臭そうにしている松本さんが、なんだか可愛らしくみえて、思わず笑ってしまった。

「はず～ッ！」
アハ、と照れ笑いする松本さんは、なんだかテレビで観ていた時の印象よりもうんと柔らかい。

「あ、じゃあごはん作っちゃいますね！」
なんだかそのギャップにドギマギして、慌ててキッチンに立った。

「俺も手伝うよ？」
「あ、大したもの作れないのでゆっくりされてて下さい」
「そう？じゃあその間に、前言ってた資料映像見せてもらおうかな」
「あ、はい、これなんですけど…」
「うお、凄そう」
松本さんはダイニングテーブルで資料映像を見ながら、なにやらメモを取りだした。

一気に打ち合わせの時のストイックな松本さんの顔。
やっぱり、すごい人だ…。

そんな松本さんの姿を見つつ、料理にとりかかることにした。
とりあえず、お酒のおつまみになる小鉢をいくつか。

「うわっ良い匂いしてると思った！うまそ～！いただきます！」
わざわざ見ていた映像を一時停止して、食べてくれる。優しい。

「手の込んだものじゃなくて…」
「いやいや、めっちゃ美味しいよ、沁みるわー」
お酒を飲みながらもポリポリとつまんでくれている姿に、一安心。

そのまま生姜焼きとお味噌汁、サラダなんかを作って、お箸や食器を丁度準備し終えた頃。

「あ！ご飯もう出来てる！すげ～美味そう」
料理が完成したのに気付き、「これもう運んでいい？」って手伝ってくれた。

「お待たせしました」
「全然、むしろこんなに色々作ってもらって申し訳ない！」
「全然です、簡単なものばかりで…よし、食べましょうか」
「うん、じゃ、いただきまーす！」

ドキドキ。松本さんの感想、緊張する…！！
味濃すぎないかな…？お肉硬くなってないかな…？

「んまいッ！」
「よかった～」
「A、料理上手いんだね」
「一人暮らし歴長いので、一応」

「やっぱ手料理は最高だね～」なんて言いながら、結構勢い良く食べている姿に、一安心した。