あの年上、期待 ページ34
「…ヤらないからね」
わかってる。
もちろん、期待してない。
…たぶん。
でも、元カレさんの誘いに乗らない時点で、今夜は俺にも食事のチャンスは無いと、どこかで諦めてた。
それなのに、Aさんの方から誘ってくれて、追い討ちをかけるように放たれたその一言に、男として頭でわかってても気持ちは反応する。
思春期かよ、キモ俺。
あーあ、ずるいよね。
ヤらないって言ってんのに、性 欲湧くんだから。
その一言さえ無ければ、俺は"普通"だったのに。
手を出しちゃ行けない据え膳を前に落胆する未来が見えた。
…つまみ食いはセーフかな。
なんて、最低なことを考えて。
『はは、わかってますよ』
「じゃ、今日終わったら連絡する」
それなのに
何であなたの方が緊張してんですか。
目を合わせることなく、そっぽを向くようにして彼女は言った。
…かわいい。
気にしんだろうな、前回のあれ。
俺はそれだけで舞い上がりそうになる気持ちを必死に沈める。
本当に年上とか、年下とか関係無い。
ヒーローとして、その辺の男よりずっと強いはずなのに、この人を見てると庇護欲をかきたてられる。
俺にとってAさんってそういう存在。
『店、探しておきますよ』
「私、連れて行きたいお店があるの」
『…へぇ、じゃ楽しみにしてます』
ねえ、それっていつからそう思った？
今、急に思いついた訳じゃ無いでしょ？
ちょっとは俺のこと気にしてくれてると思っていいの？
「あ、ごめん」
その時、Aさんのプライベート用の電話がなった。
「もしもし、つなぐ？どうしたの？」
つなぐ…あれ、この響きどこかで。
知ってるはずなのに、思い出せない。
「今夜？あー、今夜はぁ…」
Aさんは申し訳無さそうに俺を見上げた。
「うん、ちょっと先約が。ごめん」
パチリと綺麗な目が一瞬閉じられて、長いまつ毛が追いかけるように重なる。
Aさんに、こんな顔させる相手って誰なんだろう。
彼女の一つ一つの行動に一喜一憂しちゃう俺って…。
感情が忙しない。
今日だけで、2人からも食事に誘われた彼女。
心の中で、嫌な感情がうずまく。
『大丈夫ですか？俺、今度でも大丈夫ですよ』
自分で言っておきながら虚しくなる女々しい気持ちを無くしたい。
「全然大丈夫。私は、約束守るし、それに一緒に行きたい人と行く」
完敗。
本当ずるい。
男ってこんなにも単純な生き物なんだと改めて認識した日だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みりん(プロフ) - ちゃそそそさん» 応援とお気遣いありがとうございます！続編もお楽しみ頂けるよう頑張りますので、次回もよろしくお願いします！ (2023年2月22日 0時) (
レス) id: bdabf02482 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃそそそ(プロフ) - 続編とても嬉しいです！ 次回も楽しみにしております！ ご無理をなさらずに更新応募しております！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page50 id: 21d7804802 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - mbftmmさん» 嬉しいコメントありがとうございます🥺年下ホークス想像するだけでかわいいですよね♡今度も癒されてくれたら嬉しいです。更新頑張ります！ (2022年11月26日 13時) (レス) id: 7d94385906 (このIDを非表示/違反報告)
mbftmm(プロフ) - 好きです！！！！更新楽しみにしてます！！！！年下ホークス可愛い(*'-'*) (2022年11月25日 19時) (レス) @page26 id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みりん | 作成日時：2022年9月25日 17時
