6話 ページ7
.
.
街に出て、志麻くんのお買い物のお手伝いをした。
お気に入りのブランドの、服に靴、アクセサリーなど、一人で良かったんじゃ...と思って聞いてみると
「Aに、選んで欲しかったんだよ。」
と言われ、そっか、としか言えなかった。
.
.
「A、ちょっと手出して、」
『え、うん。』
すると、彼は右手の親指にシルバーのリングを通してくれた。
「今日一日、付き合ってくれたお礼。
俺とお揃いやから、大事にしてや。」
確かに志麻くんの小指に付けられたものと、同じだ。やっぱり、お揃いと聞くとなんだかとても嬉しい。
『...嬉しい、ありがとう大事にするね。』
.
.
「ほな、次行こか。」
『え、?次って、
私もうそろそろ、帰らなきゃ。』
もう結構な時間だ。
朝干してきた洗濯物をしまわなければいけないし
正直、疲れたのもあって帰りたい。
いつもだったら、家まで送り届けてくれるのに、
今日の志麻くんは、いつもと少し違っていた。
「ちょっと、ついてきて欲しいとこあるんだわ。」
『...それって、どこ、?』
───志麻くん、どうしたの、?
私の中の、なにか、がついて行っちゃ駄目だと
警笛を鳴らしている。
でも、大好きな人だから、そんなはずはない、きっと何か事情があるはずだから、私はとにかく安心したくて彼に問うた。
それなのに、
.
.
.
「いいから、黙って着いてこいや。」
そう言った彼の声は、今まで一度も聞いたことがない、とても低く冷たい声。
背筋に寒気が走り、大切な人なのに、ゾッとした。
...だから、私は拒否出来なかった。
.
.
今思えば、あそこでどんな手を使ってでも
自分の直感を信じて、逃げていれば
───こんなに、苦しむことはなかった。
.
.
387人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なすび(プロフ) - いっっったそっ!と思いながらもウッヒョぉーなんて言いながら読ませてもらってます更新頑張って下さい! (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5a02bd7bfb (このIDを非表示/違反報告)
わか - うっ...。自分がこんな立場にいたら絶望するけどうしさせだからいいんだ...。語彙力ありまくりですよ...。ありよりのありですよ..。これからの展開が楽しみです..(瀕死)。 (2020年7月2日 17時) (レス) id: 10b66fbb96 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 桜さん» ああ、勿体ないぐらいのコメントありがとうございます!感情については頑張っているところでもあるのでそこに触れて頂けると本当に嬉しくて、、更新頑張れます!!笑 嬉しいお言葉ありがとうございます!! (2018年12月18日 20時) (レス) id: d01fc0ec58 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 素敵な作品ですね…!センラさんの反比例する感情の書かれ方とか坂田さんの純粋さに隠れた狂気も、主人公の絶望の中で希望を捨てきれない複雑な心情も読んでいて引き込まれます…更新頑張ってください!楽しみにしております! (2018年12月18日 20時) (レス) id: ee303c023d (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 心愛さん» ありがとうございます!!どんな形でもバッドエンドにはしないので、これからもよろしくお願いします!! (2018年12月1日 22時) (レス) id: d01fc0ec58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年10月7日 0時