一杯如何です？2

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一体なんのサービスかと思いながらそのメニューを受け取った。上から順番に目を通し、意味を理解してからゆっくりと顔を覆った。

「………めちゃくちゃ待っててくれてんじゃん…」
「えへへ、だってすごいじゃないですか！うちの常連さんがまさかのＭ-１連覇！！結果見て夜なべして作りました！」
「俺が来なかったらどうしてたのあなた」
「そこはほら、勢いだったし…結果来てくださったからＯＫ！です！」

あ〜〜〜〜この子可愛いよやっぱ。
しかもなんか『松井ケムリ様専用メニュー』とか『とってもすごい！』とかめっちゃ感想も書いてあるもん。本当に勢いのまま作った感じだ。
内容としてはこれから先ずっと俺が頼む『いつもの』日替わりホットサンドのリクエストを特別に受け付けるというもの。ただし彼女が出勤している日に限る、らしい。可愛いの3乗くらいにはなっていると思う。
父の日に子供から肩たたき券をもらうくらいの嬉しさがある。なんだこのほっこり展開。
勝ってよかったＭ-１。そしてちゃんと２連覇じゃなくて連覇って書いてあるのもいいね。正しい出典でよし。

ちらっと顔を上げて彼女を見ると、さてどうしましょうと期待した顔で息巻いていた。わぁ、リクエスト受け付ける気満々ですね。マスターお宅の従業員可愛くないですか？え、当然だって？そりゃそうだわ。
マスターと目線だけで会話をしながらくるくると食べたい食材について考えてみる。
なんでもいいって嬉しいけど結構困るな。どうしよ…。
たっぷり３０秒くらいの間を使ってみたけど、特にぱっと浮かぶものはなく。こうなったら質問返しをする方が案外よかったりするからな。

「おすすめぇ…は日替わりだもんな…。あ、じゃあ君の好きなもの、入れてください」
「え、私の！？えぇ〜、えっと……焼き芋か、大納言…？」
「はは、甘いの好きなんだ」
「和の甘さが好きで…」
「じゃあ焼き芋にしてください」
「はい！少々お時間頂きますがよろしいですか？」
「よろしいです」

俺の期待する声が分かったのか彼女は両手を胸の前でぐっと握ってガッツポーズをした。え〜可愛いがどんどん更新されていくんだけど〜。そのままカウンターに肘をついて彼女の調理風景を眺める。
まぁ角度的に手元は見えないんだけど。それでも一生懸命動く彼女を見ているだけで癒されるのは事実。

カウンターの下にあるオーブンで焼き芋を焼いている間に分厚く切った食パンをトースターで焼く。

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