他人なのに【灰谷兄弟】

#09 ページ10

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＿＿＿＿関わりを断とうと思ったのは嫌がらせがこれ以上エスカレートするのがごめんだから。


「ねぇ、あんた最近なんなの？ 蘭達に言い寄られて良い気になってない？ どういう関係よ」


なのに私は今体育館裏にいて、目の前にはケバケバで気の強そうな先輩方が3名。
なにこれ、フィクションでありがちな呼び出し。
体育館裏に呼び出されるとかリアルにあるんだな。

腕を組んでいたり、ブレザーのポケットに手を突っ込んでいたり、両拳を握りしめてこちらを睨みつけていたり、三者三様とはこのことだろうか。

まったく…おかしい、おかしい、いやこうなる可能性を考えていないわけじゃなかった。
けど、どうしようもないじゃないか。
私は今日今までの約1週間、ちゃんと2人を避けてきた……いや、その筈だったんだ、本来は。

朝はまだ寝てる時間に学校に行き、昼休みは彼らが来る前に教室から消え、帰りもなるべく早く家に帰り自室に籠った。

ところがどっこい。
私が学校で2人に出会わなかったところで、2人が私を訪ねて教室にやってきた事実は変わらないのだ。
クラスメイトにもよく彼らとの関係を聞かれ、『何の関係もない』と答えれば「ふーん…」と微妙な顔をされる。
まあ納得しないのも無理はないだろう。

家でだって自室に篭っていれば、夜ご飯の時間になれば蘭さんが勝手に部屋に入って来て、私を担いでリビングに連れてかれた。

『夜ご飯これから要りません』

って言ったら竜胆さんは微かにシュンとするし、蘭さんに無理やり座らされて口に突っ込まれるし。
「嫌なら自分で食べろよ〜♡」と言われ、結局普通に食べた、美味しかった。違うそうじゃないぞ私。

＿＿＿つまり、まったくもって上手くいかないのだ。

こんな目に合う未来が見えていながら、避ける事がかなわなかった。


「なに、無視？ ナメてんの？」

『ああ。いや、そういうわけではないです。ちょっとぼーっとしてて…すみません』

「何アンタ、この状況でぼーっと出来るなんて随分余裕じゃん？」

「チッ、生意気な態度ばっかり取ってないでさぁ…さっさと最初の質問に答えてくれる？ 灰谷君達とどーいう関係？ 色目でも使ったの？」


あぁもう、面倒臭いな。
私がいつ生意気な態度を取ったのだろう。
敬語を使い、謝罪もした。

そして色目など使っていない。
どんな関係かって？

…強いて言うなら、かくかくしかじかな事情により戸籍上兄妹関係になってしまっただけの、他人だ。


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