#12 ページ13
.
去ろうとした3人のうちの1人…私と頬を引っぱたき合った女の先輩の肩を、蘭さんがガシッと掴んで低い声で囁く。
その時の表情は相変わらず笑顔で、逆に怖い。
「良かったなぁ? アイツが自分でやり返して。次コイツになんかしたら、女だろうがオレらがぶん殴るから♡ 覚えとけよ〜?」
「い"っ……!」
元の元凶はあなた達なんですけどね、と思いつつその光景を眺めながら、彼女の歪んだ表情を見て私は察する。
彼女がなかなか強い力で肩を掴まれているということを。鬼畜ですか。
流石に可哀想になり、彼女に助け舟を出すことを決めた。
『はぁ…………………兄さん、もういいから。離してあげて欲しい』
本当に…この人達との関係が露呈することが無かったらこんな呼び方絶対しなかったのに。最悪だ。
蘭さんは一瞬驚いた顔をした後、ニヤリと笑ったかと思えば、「妹の頼みなら仕方ねーな♡」とその手を離し、「オマエらさっさと散れ〜?」と言い、先輩達は無事その場を去った。
先輩達はには是非私に感謝して欲しい。
本来なら私は言い掛かりをつけられただけの被害者で、助ける義理なんかなかった。
あのまま肩を骨折しても良かったのだから。
なんて心の中で文句を言っていると、
「オレ達のせいで絡まれたとかAも災難だな〜?」
『ぐ…っ、』
蘭さん肩に手を回され体重をかけられ変な声が出る。
災難っ
「あ、今思い出した。あの女前兄貴が家に連れ込んでた奴じゃん」
「そうだっけ?」
『これからは控えてくださいね。私も住んでるので』
「ヤキモチか〜?」
『違います。寝言は寝てからにしてください』
「オレもうるせぇ女とか香水くせぇ女イヤだからやめて欲しい。何度も言ってるけど」
竜胆さん何度も言ってたのか。
何度もって事は何回言っても聞かなかったのか。
「つーか " 兄さん " に向かってなんでそんな他人行儀なわけ? オレ達の仲だろ〜? いつまで敬語使ってんだよ♡」
『アレはあの人達を納得させるために仕方なく…』
ニヤニヤしてこっちを見ないで欲しい。
いじらないでくれませんか。
「オレの事も " 兄さん " って呼んでみろよ」
『………』
頭をなでなでされながらの竜胆さんの要求。
……正直竜胆さんには不本意ながらも食の面でお世話になってるから強く出れない。
実際美味しいご飯には感謝してる。
だがしかし、改めて " 兄さん " 呼びさせられるなんて罰ゲームかと思うくらいには小っ恥ずかしいものがある。
.
605人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お米。(プロフ) - コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!亀更新ですが見守っていただければ幸いです。ちなみに私はまだ1回目だったので一日で復活致しました(^^)ゆーらさんも早く復活する事をお祈りします<(_ _)>(もうしてるかもしれないけど) (2021年10月17日 19時) (レス) id: ef08fd2dc5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーら(プロフ) - こんばんは、凄く面白かったです!これからも頑張ってください!後私も昨日ワクチン打って二の腕死んでますw (2021年10月16日 19時) (レス) id: 0f26bdb992 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:お米。 | 作成日時:2021年10月16日 9時