#01 ページ2
.
「お父さんとお母さんは2人で暮らすから、兄妹仲良く暮らすんだぞ」
父が私に放ったその言葉。
仲良く、なんて現時点で顔も知らない相手と出来るわけがない。
学校に友達1人もいないなら尚更。
いきなりできた兄2人。
いきなり一緒に住む事になった家族という名の他人。
前途多難である。
お父さんは私に関心が薄かった。
無関心、嫌悪なんて程ではないが"愛情"を向けられるほどの存在ではないのだと思う。
生活は困る事もなかったし、特に暴力を振るわれたりなんて事なかった。
けど、ただただ実の娘に対する態度とは思えないほど淡々とした態度。
笑顔は向けられるが作り笑顔。
家族なのに他人。
私とお父さんの関係はそんな感じ。
両親の離婚の原因はお母さんが精神を病んでしまったから。
だから5年前、私はお父さんと暮らす事になつんた。
私は当時小学生で、お母さんが何故精神を病んでしまったかなんて聞かされなかった。
それは今でも知らない事。
あれから約5年、お父さんが再婚した。
新しい家族ができてみんなで一緒に住むものだと思っていた。
けどお父さんも再婚相手も子どもなんて抜きで2人で暮らしたかったみたい。
諭されるよう新しくできた"兄"とやらと共に暮らすように言われた。
私は『分かった』と一言。
だって私にとって、お父さんは大した存在じゃなかったから。
寂しいなんて思わなかった。
私がおかしいのだろうか。
こういう時構って欲しくて非行に走るって言うけど、私は別に振り向いて欲しいなんて構って欲しいなんて思わなかった。
お父さんが私に大して関心が薄いのを感じ取った私もまた、お父さんへの関心は次第に薄くなっていった。
だから、一緒に暮らしたいとついて行ったところで居心地が良くはないだろうし、そんな事は言わない。
とはいえ初めて会う"兄"、結局は他人である男2人と一緒に住むのには不安と警戒心が付きまとう。
「ああ、そういえばAの新しいお兄さんの名前は蘭くんと竜胆くんだからな」
『……蘭、竜胆？』
確かこの女性の前の苗字って灰谷って……。
まさか……まぁいい、とりあえず家に入るか(思考放棄)
2人の乗った車が遠ざかるのも数秒眺めると、目の前の一軒家に足を向ける。
『大きい…』
こんな家あるのにここに住まずに新しく部屋借りるってお父さん達はお金持ってるんだな。
渡された鍵を鍵穴に差し込んで回すと、ガチャと音がし、ドアを開いて足を踏み入れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 605人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お米。(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです！亀更新ですが見守っていただければ幸いです。ちなみに私はまだ1回目だったので一日で復活致しました(^^)ゆーらさんも早く復活する事をお祈りします<(_ _)>(もうしてるかもしれないけど) (2021年10月17日 19時) (
レス) id: ef08fd2dc5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーら(プロフ) - こんばんは、凄く面白かったです！これからも頑張ってください！後私も昨日ワクチン打って二の腕死んでますw (2021年10月16日 19時) (レス) id: 0f26bdb992 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お米。 | 作成日時：2021年10月16日 9時
