公子さんが本当にシスコン過ぎる

犬猿の仲 ページ31

モンドにて。


『ぷはっ！やっぱ旦那のジュースは違いますねー』


ここはエンジェルズシェア。
今日はディルックさんがバーテンダーをしてくれるらしい。


「酒は飲ませられないからな。それで我慢してくれ」


『……はーい』


何でせっかくモンドまで来たって言うのにお酒を飲めないんだろう。


まあ、私の体質の問題なんですけどね。
これほど自分の体質を恨んだことはないよ。



『くぅぅ、飲みたかったのに………！！ ……あれ、おいちょっと風神？？ 何で私の前で酒を飲んでるの？ 当て付けかな？？？』



「いやいや〜、僕はいっつもここでお酒を飲んでいるからね。ちょうど時間が被ってしまって申し訳ないよ〜」



てへ、と笑うウェンティ。

そうは言っても、私とウェンティは顔を見れば喧嘩してばっかりの仲。

そんな彼が、「たまたま」「偶然」私がいる時に酒を飲みに来たのか？

いや、それはないだろう。


その「してやったり」みたいな顔からしても、これは当て付けだ。そうとしか考えられない。



『よしウェンティ、私と決闘だ。神の心を失った酔っぱらいに負けるはずがない』



「お、いいね。やる？」



そう言って私達2人はいがみ合っているところに…





ポカッ





『「い”っ！？」』



「全く、店の中で喧嘩を始めないでくれ」



ディルックさんに一発お見舞いされる。



「酷いじゃないか、ディルック！ 僕を殴るなんて！！」



『この酒カスはともかくとして、私女の子ですよ！？ 女の子に手をあげるなんて、ディルックさん最低っ！！』



「ふん、女の子ならもっと女の子らしくするんだな」



『私は十分女の子らしいですぅー！』



そう言って私は「誰が酒カスだって？」と怒っているウェンティをチラリと見る。



『ウェンティだって、見た目なんて女の子のそれなんだから、もっとお淑やかになれば良いのにさ！』



私は、いー！とウェンティを睨む。



「なんだって！？」



『え、やる？ 受けて立つよ』



そう言ってまたお互い立ち上がった、その時。







「やあやあ、お楽しみ中のところ失礼するよ」

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