千秋さん！私、アイドル嫌いなんで！ (ページ19)

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半年後、マスコミによって私たちの交際は公になった

"元スーパーアイドル芥川の娘と流星隊リーダーの熱愛報道"

私は苗字が"蘭"だからあまり被害はなかったものの、
千秋さんや流星隊のみんなや事務所の方々は、日夜マスコミに追われていた

本当にごめんなさい……

ファンの方はショックを受けていたけれど、時間が経つと、それは祝福に変わっていった

今日は千秋さんと夢ノ咲学院にお忍びデート

佐賀美先生が、｢有名人カップルが出歩くのは大変だろう｣と学院内のカフェを貸し切ってくれた

千秋さんが頼み込んだらしいけど………

千秋さんと外に出て食事をするのは久しぶりだし、夢ノ咲学院に来るのも告白された時以来だ

千秋さんとは同棲しておらず、毎日電話をしているけど、会えるのは嬉しい

まだアイドルは好きじゃないけど、世の中には良いアイドルもいる。それは千秋さんを見ていて分かったことだ

今、私はアイドルとしての千秋さんも大好きだと実感できている

カフェテリアにつくと、スーツ姿の千秋さんが見えた。いつもはスーツなんて着ないのに……

黒いスーツに赤いネクタイ。茶髪の髪はいつもより綺麗にセットされていて、背筋を伸ばして座っていた

自分もデートだから気合い入れてオシャレはしているつもりだけど、千秋さんを見たらもっとオシャレすれば良かったと後悔する

『千秋さん…お待たせしました』

｢お、ききき、来たか！その、嬉しいよ。ええと、ワンピース、とても似合っているな！可愛すぎて、今この場で君を………たた、食べたくなってしまう｣

なんか変だ……

千秋さんは冗談でも｢可愛すぎて、今この場で君を食べたくなってしまう｣なんて言わない。

まず、そんなキザな台詞は言わないし、"お前"ではなく、"君"と言ってる時点で何かがおかしい

『………千秋さん、どこか悪いんですか？大丈夫ですか……？』

｢え、いやいや、なんでもない！｣

『そう……かな……？』

とりあえず席につこうとすると、千秋さんが椅子を引いてくれた

これはいつも通りだ。細かい気配りができて、とても優しい

『そういえば、今日はどうしてスーツなんですか？』

｢いや！なんでもないんだ！！！｣

『え？』

やっぱり変だ……

｢そ、それより！ここに来るのも"あの日"以来だな……｣