千秋さん！私、アイドル嫌いなんで！ (ページ13)

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11:奇跡ページ13

いつものように見舞いに行くと、Aの目が開いていた

｢え、A！起きたのか……！？｣

『ウザっ………』

酸素マスクの中の口から、消え入りそうな声で"ウザっ"と言われた

でも、どんな言葉でも、今はAの意識が戻ったことが嬉しかった

急いで医者を呼んで処置をしてもらったあと、学校に連絡した

Aは１ヶ月意識を失っていたため、リハビリをする必要があるらしく、まだすぐには復帰できない

でも、生きていてくれて良かったと心から思う

何日かリハビリをすると、少しずつ体調が戻ってきたようで、今日は面会が許された

｢A、おはよう！｣

『ウザっ、声でかい………』

｢はははっ！すまんすまん！｣

『ねぇ、千秋さん……………』

｢ん、どうした？｣

『………私の、両親は、どうなったの……？』

その声には不安と恐怖が滲んでいて、両親に殺されかけたという恐怖が拭いきれてないようだった

｢芥川さんは……捕まったよ。優人さんは懲役7年で優花さんは懲役5年。どちらも執行猶予は無しだそうだ｣

『っ、良かった…………！』

心から安心したように呟くと、Aはポロポロと涙を流した

本当に怖かったんだろう……

｢俺は……お前に悪い事をした………何もしてやれなかった。助けてやれなかった……｣

俺は流星レッド……ヒーロー失格だ。
正義を守る……平和を守る……人を助ける……
俺には出来なかった

もしかしたらAは俺を恨んでいるかもしれない

『ふふっ、千秋さんらしくないな……うるさいだけが取り柄なんだからしょんぼりしないでよ……』

｢なっ、明星みたいなことを言うな！悲しいぞ！｣

『……ふふっ、千秋さんは何もしてやれなかったって言ったけど、私にとってはヒーローだから……十分助けて貰ったよ……』

｢えっ？｣

『学校では強がって生意気に振舞ってたけど、実際は友達とか居なくて寂しかったから、話しかけてくれる千秋さんはヒーローみたいだった』

そう言って笑いかけてくれるAの顔は本当に嬉しそうで、胸が熱くなる

子供たちに向けられていたような太陽のような笑顔が……今初めて俺に向けられている。それがとても嬉しい

『アイドル科の人間はみんな腐った奴だって決めつけて、毛嫌いしてた……今まで冷たい態度をとってごめんなさい』