32話 ページ33
｢なあなあ、Aちゃん｣
講義が終わると、ひかるくんに話しかけられた。私は教科書を仕舞いながら後ろに座るひかるくんの方を見る。
ちなみに、ひかるくんはサックス吹きである。同じゼミ所属だが、教授が違うのであまり話さない。しかし、ルックスの良さで周りから黄色い悲鳴が上がっている。
｢最近、彼氏でも出来た？｣
｢ゴホッ｣
何も口にしてないのに噎せた。
ひかるくんはその反応にケラケラと笑った。
｢ふは、できたんだ。カマかけたけどマジだった｣
｢できてるのが分かったらお前は消えろ｣
ひかるくんに蹴りを入れるのはいつもの通り御影くんだった。
いつもの如く私にセンサーでも付いているのか、ひかるくんが私に話しかけてる途中で必ず来てくれる。
｢…………ってぇ…………｣
｢おつかれA｣
｢御影！お前ほんっと容赦ねえな｣
復活したひかるくんはお腹を抑えながら立ち上がった。そして私と御影くんも立って、3人で講義室を出た。
｢でもさぁ、最近Aちゃんが可愛くなったから、彼氏の1人くらいいるかなって思ったのはほんとだよ｣
｢い、ますよ｣
廊下を歩いていたひかるくんの目が細くなった。まるでこちらを見透かしてくるような瞳だった。
｢へぇ？いつできたの？｣
｢……ちょっと前です｣
｢嘘つくの下手だね？1ヶ月以上は経ってるでしょ｣
｢おい、ひかる｣
｢黙っててよ。お前は関係ないじゃん｣
御影くんに対抗する、珍しい声だった。その低めの声からして、これは逃げられないだろうと悟った。
｢彼氏、いい男？｣
｢……そりゃ、いい人ですよ｣
｢あは、慣れてないのかわいいね｣
ひかるくんはそう明るく笑って、私の肩を触った。
ぞわりとした感覚に体が凍りつく。
そして、肩に手を置いて、耳元で囁かれた。
｢彼氏に飽きたら俺と遊ぼう？………首元のキスマークから、だいぶ進んでるらしいし｣
｢？！｣
｢ころす｣
ばっと首元を隠した私に、タイミングよく御影くんの蹴りが炸裂した。
廊下で蹲るひかるくんに、御影くんが心配そうな目で私の方を見てきた。
｢………首のキスマークは見えてないから。あいつのはったりだよ｣
｢………ありがとう｣
｢あと、こいつとは2人きりにならないようにして｣
｢うん……努力する｣
｢俺も協力するから｣
そう言った御影くんは、ずるずるとひかるくんを引きずりながら音楽棟へ向かっていく。
私も複雑な気持ちを抱えながら、帰宅した。
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りんご(プロフ) - ちょこれえとさん» すみません、返信遅くなりました。好きになったと言って頂けて嬉しいです。これからも自分のペースで頑張っていきます！ (2020年3月6日 13時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれえと(プロフ) - めっちゃ面白いです！キヨのこともっと好きになれました！ これからも頑張ってください！！ (2020年3月3日 13時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - みんさん» ありがとうございます！1番好きと言っていただけて嬉しいです。自分のペースで頑張らせていただきますので、これからもよろしくおねがいします！ (2020年1月31日 23時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - はじめまして！いつも拝見させていただいています！たくさんあるキヨのお話の中で一番好きです(^^)vりんご様のペースで頑張ってください。陰ながら応援してます！ (2020年1月31日 18時) (レス) id: c336b5de5e (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - なおさん» 初めてのコメントをいただけて嬉しいです！年齢制限の方は別サイトになると思いますが、前向きに考えますね。ありがとうございます。 (2019年12月13日 19時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年12月10日 14時
