10話 ページ10
メニューのおすすめにあった、デミグラスソースのオムライスを2つ頼む。付いてくるドリンクは、私はブレンドコーヒーで、彼はオレンジジュースだった。
「子供扱いも、かわいくない」
じゅーーって、ストローでオレンジジュースを飲みながら、キヨさんはジト目で私を見てくる。
「子供舌なキヨさんが悪いですよ」
私は香りが漂っている珈琲に口をつける。
「……てかさ」
「はい」
キヨさんは私が珈琲を飲む姿に少しドン引きしながら、口を開いた。
「言いたくなかったらでいいんだけど、大学って近くにある音大?」
「そうですよ」
「音大って、何すんの?」
「何する……って、私はピアノコースなので、クラシックをやったり、作曲とかも少し齧ってますよ」
何かと思えば、私の話。本当に、他愛のない話だ。それでも、彼が私に興味を持ってくれているのが、嬉しかった。
「俺も友達に、歌ったり曲作ったりしてるやつはいる」
「へぇ、どんな曲作ってるんですか?」
「いや、普通に、CDとか出して、る。普通の曲」
動画サイトとかに上がってるじゃん、最近の曲みたいなやつ、とかキヨさんは言った。
「普通にって……CD出すって結構知名度ないと難しいじゃないですか。凄いことですよ」
音楽の世界は厳しい。のは、一応音大に通ってる私が身に染みてよく分かっている。だから、素直にきよさんの友達はすごい人だと思った。
「あ、そういえば私も聞いていいですか?」
「……何?」
ふと気づく。私は、彼の名前は知っていても、それ以外何も知らないのだ。
「職業……とかって、聞いたらまずいですか?」
「……あーー」
初対面で、携帯の連絡を聞いた時の彼の顔と、全く同じだった。聞かれたくない質問なのは、顔からすぐに分かる。
「言いたくないんならいいんですけど、」
「いや、違、うんだ」
「お待たせしたねえ」
すると、お爺さんが2つ皿を持ってきてくれた。大きな皿には、ふわふわの卵にソースがかかっている、オムライス。
「食べたら、話す」
冷めちゃうから、と言ったキヨさんは、両手を合わせる。私もそれに習って合わせた。
「いただきまーす」
「いただきます」
スプーンでトロトロの卵と、中に入ってるケチャップライスをすくう。ふうふうと冷ましてから、口に入れた。
「……お、おいしい」
思わず声が漏れた。
「だよなぁ、美味いよなぁ」
キヨさんは食べたことがあるのか、どんどん口の中に運ばれていった。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時