27話 ページ27
｢つか、この食べ物も全部白黒ってことだよな？｣
｢はい、それはもうきれいさっぱり｣
もぐもぐとどんどん料理が彼の口の中に運ばれていく。細身の体であるのに、思った以上に食べる人だ。
私も、目の前の焼き鳥を1本とった。
そのまま食べる。おいしい。
食欲が湧かないのか、とよく言われるが、そもそも色がないまま生活してきたので、そういう概念がない。
｢想像つかねえな、ほんと。あと特別支援学校ってのもあんまり想像つかん｣
もぐもぐと卵の料理を食べながら言うキヨさんは、もう気にしていないようだ。
普通に、興味があると言う感じだ。
｢ですよね。○○盲学校ってところだったんですけど、点字とかやってましたよ。目が見えない子ばかりいたので｣
｢点字って読めるやつほんとにいるんだな｣
すげーわほんと、と今度はまた別のお肉を食べている。
｢よく食べますね。キヨさん｣
｢ん？今日俺昼ごはんとある事情で食べ損ねたから、腹減ってんの｣
｢とある事情？｣
｢聞くの？お前それ｣
今度はカルボナーラを食べ始めたキヨさんは、フォークで麺をとって、げっそりとした顔をした。
｢いや、とある事情なんてわざわざ言うから、聞いて欲しいのかなぁって｣
｢………ほんと容赦ねえ女｣
｢言いたくないならいいですけど、あ、キヨさん緑茶のおかわりいりますか？｣
｢ん、注文して。……いやさぁ｣
タブレットでオレンジジュースと緑茶を頼んで、キヨさんの方を見た。
｢日曜日の電話覚えてる？｣
それは、キヨさんがめちゃくちゃに謝ってて、そして向こうは結構怒ってた電話の内容だった。
｢はい｣
｢あのメンツに呼び出されてさぁ………全部、吐かされました｣
｢……ぜんぶ、ですか？｣
キヨさんは思い切り目を逸らして、空になった緑茶を見ながら弁解した。
｢はい………。お前の名前とか、そういうの。って言っても、別に害とかないから！同業者だし｣
｢は、はあ｣
｢俺がお前を助けて、知り合いになったってことしか言ってない、から｣
別に、全く怒ってないのに。
すごく反省している様子のキヨさん。
……少し、可愛いと思ってしまった。
｢ふふ、大丈夫ですよ｣
｢……ほんと？怒ってねえの？｣
｢さっき私の命の恩人と胸張ってたキヨさんはどこ行ったんですかね｣
｢あれはあれ、これはこれだろ。
そんなわけで、時間かかって昼飯食べ損ねたんだよ｣
大変だった、と遠い目をした。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
